♪ Król Roger ロジェ王
作曲:Karol Szymanowski (シマノフスキー 1882~1937)
内容:シマノフスキーは広い分野の作品を手がけた近代ポーランドを代表する作曲家で、このオペラは、12世紀シチリア王ルッジェーロ2世を題材にした、キリスト教とギリシャ多神教との葛藤を描いたもの。作曲者と従弟で詩人のJ. Iwaszkiewiezが台本を書いた。
3幕 ポーランド語
あらすじ
第1幕
大聖堂でミサのための歌声が流れる中、シチリア国王ロジェ王 (バリトン) は新しい宗教が民衆の間に広まり始めていることを知る。ロジェ王の側近で賢者のエドリシ (テノール) は正体不明の羊飼いが新しい神を崇める宗教を流布していることを王に伝え、王はその羊飼いと面会することにする。羊飼い (テノール) が登場し「私の神は私のように美しい」と歌い上げると、聖職者たちがその羊飼いを処罰することを求める。王は一度は死刑を宣告するが、羊飼いに魅了された 妻ロクサーナ (ソプラノ) と冷静な対応を望むエドリシに説得され、もう一度宮殿に来ることを約束させた上で羊飼いを解放する。
第2幕
宮殿内の中庭で、ロジェ王は妻ロクサーナの態度に不安を抱えながら、羊飼いの到着をエドリシと待っている。すると遠くから東洋的な楽器の響きが聞こえ、そ れに呼応して王をなだめるためのロクサーナの歌が聞こえてくる。やがて羊飼いが楽士を従えて現れる。王は対話によって羊飼いの秘密を探ろうとするが、徐々 に周りの人びとが羊飼いの虜 (とりこ) になっていく。羊飼いの合図で舞曲が始まり、人びとはとりつかれたように踊り出す。ロクサーナも踊りに加わり羊飼いと一緒に歌い始めると、王は羊飼いを捕 らえるように命じるが、捕らえられた羊飼いは鎖を簡単に破り、王とエドリシ以外のすべての人びとを従え、消え去ってしまう。
第3幕
古代の廃墟で、ロジェ王はあてもなくロクサーナを探し、絶望の中で彼女の名を呼ぶと、ロクサーナの声が聞こえてくる。彼女はやがて姿を現すが、その眼差し は謎に満ちている。王がロクサーナに言われるがままに祭壇に花を捧げた瞬間、炎の中から実は羊飼いに姿を変えていたディオニューソス神が現れる。ディオ ニューソスはロクサーナや群衆とともにロジェ王を激しく誘い込もうとするが、ロジェ王は反応しない。ディオニューソスは群衆に囲まれて見えなくなり、徐々 に人びとも遠ざかってゆき、最後にはロジェ王とエドリシのみが残される。夜明けの太陽が、ロジェ王とエドリシを照らして幕となる。