♪ Otello, Ossia Il Moro di Venezia「オテロ、またはヴェネツィアのムーア人」
作曲:Gioachino Rossini(ロッシーニ1793~1868)
内容:シェイクスピアの悲劇「Othello」を基にF. B. di Salsaが台本を書いて1816年に初演された。1887年にヴェルディが作曲した名作「オテロ」の後は、あまり演奏されなくなってしまったが、劇的迫力に満ちた名作。3幕 イタリア語
あらすじ
第1幕 第1場
ヴェネツィアのサン・マルコ広場
ヴェネツィア共和国総督(バス)や貴族たちが居並ぶところへ、キプロス島からトルコ軍を掃討したヴェネツィア軍将軍オテロ(テノール)が凱旋してくる。総督はオテロの勲功をたたえ、望みどおり彼にヴェネツィア市民権を与える。しかし、以前からオテロの名声を妬み、しかもオテロとは貴族エルミーロの娘のデズデーモナをめぐって恋敵である、総督の息子ロドリーゴ(テノール)は、その待遇に承服できない。貴族エルミーロ(バス)は、娘デズデーモナが近頃泣いてばかりいると語る。ロドリーゴの仲間でやはりデズデーモナに失恋したヤーゴ(テノール)が一通の手紙を持って来て、オテロを陥れる算段が出来たと言う。
第2場
エルミーロ邸でデズデーモナ(ソプラノ)が、侍女エミーリア(ソプラノ)にオテロを慕う悩みを話す。以前、デズデーモナは、戦地のオテロ宛てに自分の髪を添えて恋文を書き、それが父エルミーロに見つかり、その時は宛名が書かれていなかったのを幸いに、ロドリーゴに宛てたものと言い逃れしたのだが、最近その手紙を紛失した事に不安を抱いている。父エルミーロは、娘がオテロよりも総督の息子ロドリーゴと結婚することを望み、ロドリーゴに娘を与えようと言う。
第3場
エルミーロ邸で宴(うたげ)が開かれ、エルミーロは娘デズデーモナと総督の息子ロドリーゴの結婚を披露し、デズデーモナは困惑する。そこへオテロが現れ、デズデーモナはもう自分の妻になると誓ったと言い、オテロとロドリーゴの激しい葛藤となる。
第2幕 第1場
デズデーモナを諦め切れない総督の息子ロドリーゴは、もう1度彼女に愛を訴えるが、デズデーモナは既にオテロと内緒に結婚してしまったことを打ち明け、彼は失望し、オテロを恨んで去る。
第2場
オテロ邸では、オテロが、デズデーモナが父の考えに従ってロドリーゴと結婚してしまうのではないかと不安を抱いている。そこへヤーゴが 例の手紙を持って現れ、デズデーモナがロドリーゴに宛てて書いたものだと教え、彼女の筆跡を確認したオテロは嫉妬と怒りで「彼女を殺す」と叫ぶ。ヤーゴは算段がうまくいったとほくそえむ。デズデーモナを諦めたロドリーゴが、オテロとの友好を取り戻そうと現れるが、嫉妬に狂ったオテロが、逆に彼に決闘を申し込む。駆け付けたデズデーモナが必死で仲裁するが、2人は決闘をしに外に出て行き、彼女は気を失う。決闘ではオテロが勝つが、それを喜ぶデズデーモナに、父エルミーロがお前には天罰が下るだろうと怒る。
第3幕
デズデーモナが、エミーリアに髪をすかせながら寝る仕度をしていると、外からゴンドラ使いの歌が聞こえてきて、昔男に振られた女中が歌っていた悲しい歌を思い出すと言い、有名なアリア「柳の歌」を歌う。彼女は、エミーリアを退出させ、神に祈りを捧げベットに入る。オテロが短剣を手に現れ、目覚めたデズデーモナは無実を訴えるが、ついに彼女を刺し殺してしまう。その時、オテロの部下が駆け付け、ヤーゴが殺されて死の間際にオテロに対する陰謀を告白したことを伝える。エルミーロやロドリーゴも現れて、オテロに対する誤解を詫びて2人の結婚を許すと言うが、オテロは「もう遅い」と言い、ベットのカーテンを開けて死せるデズデーモナを見せ、自分も胸に短剣を刺し、幕となる。