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♪Adriana Lecouvreur「アドリアーナ・ルクヴルール」

by hidepost, le 20 nov 2015

作曲:Francesco Cilea(チレーア1866~1950)

内容:18世紀前半にパリで活躍した実在の女優アドリエンヌ・ルクヴルールと、実在のザクセン伯爵マウリツィオの灼熱の恋を、E. スクリーブとE. ルグーヴェが劇化したものを基に、A. Colauttiが台本を書いた。「新イタリア楽派」オペラの佳作のひとつとして、作曲者のオペラ作品中もっとも頻繁に上演される作品となっている。 4幕 イタリア語

あらすじ

第1幕 コメディ・フランセーズの楽屋

舞台監督のミショネ(バリトン)は舞台の準備に忙しい。そこに、女優デュクロの愛人であるブイヨン公爵(バス)と若いシャズイユ僧院長(テノール)が連れだってやって来る。名女優アドリアーナ・ルクヴルール(ソプラノ)が台詞の練習をしながら現れ、人々の称賛に謙遜して、アリア《私は創造の神の慎ましい下僕に過ぎません》を静かに歌う。ブイヨン公爵は、ミショネに自分の愛人の居所を尋ね、ミショネは、彼女は楽屋で手紙を書いていると答える。愛人に疑惑を抱いたブイヨン公爵は、シャズイユ僧院長に財布を渡して、その手紙をこっそり手に入れるよう頼み立ち去る。ミショネはアドリアーナを愛しているが、彼女はザクセン伯の旗手マウリツィオ(彼女には旗手と偽っているが実はザクセン伯爵)に夢中だ。マウリツィオ(テノール)が現れ、アドリアーナの美しさを讃え、2重唱《甘く優しい微笑み》を歌う。出番が近づいた彼女は、マウリツィオにすみれの花束を渡してステージに急ぎ、マウリツィオも客席につく。ブイヨン公爵は、愛人の手紙に「今夜11時にセーヌ川下流の別荘で」と書かれているのを読む。そこは、ブイヨン公爵が愛人に与えている別荘で、どうやら手紙の宛先はマウリツィオらしい。ブイヨン公爵と僧院長は、手紙に封をしてマウリツィオの席に届けさせ、彼らもその別荘で同じ時間にパーティを催すことを企てる。実はザクセン伯爵マウリツィオは、自国の政治についての進言を王室に伝えるため、ブイヨン公爵の愛人デュクロを通してブイヨン公爵夫人に連絡を取ってもらっていたのだ。しかし、今夜はアドリアーナとも会う約束していたので、マウリツィオは仕方なくアドリアーナに今夜は会えないと伝言する。がっかりしたアドリアーナは、ブイヨン公爵とシャズイユ僧院長からパーティに誘われ、そこにザクセン伯爵も来ると聞き、パーティに行くことにする。

第2幕 別荘

ブイヨン公爵夫人(メゾソプラノ)はマウリツィオを愛しており、彼が胸に小さなすみれの花束を差しているのを見て嫉妬する。マウリツィオは、仕方なくブイヨン公爵夫人にその花束をプレゼントする。マウリツィオは政治の話だけをして立ち去ろうとするが、ブイヨン公爵夫人はおさまらない。だがその時、夫のブイヨン公爵の馬車が到着したのに気づき、夫人は危うく小部屋に隠れる。マウリツィオが自分の愛人の女優デュクロと逢い引きをしていたと思い込んでいるブイヨン公爵が、そこに到着したアドリアーナに、マウリツィオを紹介すると、旗手だと思っていたマウリツィオが実は伯爵だったとわかり、アドリアーナは身分の違いを思い知らされ悩む。
舞台監督のミショネが現れ、ブイヨン公爵の愛人の女優デュクロに用があるので帰ると言うと、シャズイユ僧院長は彼女は小部屋に隠れているはずだと答える。ブイヨン公爵夫人が見つかっては大変なので、マウリツィオはアドリアーナに手短に訳を話して隠密に逃げる手助けを頼む。アドリアーナは、うまく皆を追い払いブイヨン公爵夫人を逃がそうとするが、共に顔を隠しているが、互いが恋敵だとわかると激しい応酬が始まる。ミショネはブイヨン公爵夫人が落としていった腕輪をアドリアーナに渡す。

第3幕 ブイヨン公爵の館

ブイヨン公爵夫人は、マウリツィオの恋人の正体を詮索している。数日後、ブイヨン公爵邸で夜会が開かれ、アドリアーナも招かれる。彼女の声を聞いた公爵夫人は、恋敵はアドリアーナではないかと疑いを持ち「マウリツィオは決闘で重傷を負った」と嘘を言い、アドリアーナが気絶しそうになるのでその確信を強める。そこに 怪我などしていないマウリツィオが現れ、アドリアーナは騙されたことを知る。夜会は賑やかに進み、ブイヨン公爵夫人はすみれの花束のことを話題にし、アドリアーナは公爵夫人の腕輪を見せて、互いを確認する。夜会の余興として、ブイヨン公爵夫人は意地悪く「男に捨てられたアリアドネ」の台詞をアドリアーナに所望する。だが、アドリアーナは「夫を裏切った淫らな女フェードラ」の台詞を朗唱して当てつける。名誉を傷つけられた夫人は復讐を誓う。

第4幕 アドリアーナの家

公爵邸の一件以来自宅で静養しているアドリアーナを、ミショネが見舞いに来る。仲間の俳優たちも、アドリアーナの誕生日を祝いにやって来て、贈り物や楽屋のゴシップで彼女の心を和ませる。彼女はこれらの暖かい思いやりに感謝して、舞台復帰を約束する。

そこへ「マウリツィオより」と書かれた小箱が届けられ、アドリアーナが箱を開けると、かつて彼に渡したスミレの花束がすっかり萎れて入っている。彼女はマウリツィオを失ったのだと絶望して、アリア《哀しい花よ》と歌い、スミレに接吻して暖炉に投げ捨てる。しかし、そこへ、ミショネの手紙でアドリアーナの病を知ったマウリツィオが現れる。彼はこれまでの不義理を詫び、心はいつまでもアドリアーナにあることを誓い求婚する。当初訝しげに応対していたアドリアーナも彼の真心に打たれ、結婚を承諾する。しかし突然彼女の意識がおかしくなり、マウリツィオとミショネは、小箱はブイヨン公爵夫人が贈ったもので、そこには毒が仕込まれていたことを悟る。 アドリアーナの意識は混濁し、かつての栄光の舞台の台詞を語気鋭く叫んだかと思うと、次の瞬間には清らかな旋律に情感を込めて愛を歌う。そして、マウリツィオの腕の中で、死にたくないと訴えながら息を引き取り、一同が呆然とする中で、静かに幕となる。