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♪Au Monde「世界に」世界初演 

by hidepost, le 4 oct 2013

作曲:Philippe Boesmans (ブスマンス 1936~)

内容:「ブルゴーニュの王女イヴォンヌ」(2009年)に続く、ベルギー人作曲家ブスマンスの新作オペラの世界初演。フランス演劇界の第1人者J. Pommeratが2004年に発表した劇「世界に」を、Pommerat自身の台本と演出でオペラ化する。世界不況の中、不遇な時代に生きる普通の人々の姿を濃縮還元した現実として芝居にされたもの。

3幕 フランス語

 

簡単なあらすじ

広く立派だが、暗く陰鬱(いんうつ)な雰囲気の家の中、国際的大企業の企業主として成功してきた年老いた父(バリトン)が、迫り来る老いに、自分の事業を、軍の将校を辞めて帰って来る次男に継がせようと考えている。

彼の家族は、2人の息子と3人の娘(末娘は養女)、長女の婿、長女が独断で雇った使用人のおばさんという構成で、彼は家の家長としても家族を暗黙のうちに支配していた。

だんだん視力が衰えにつれ、内面の複雑さが表面化する長男(バリトン)。長い間、軍隊の将校だった放蕩(ほうとう)息子の次男オリー(バリトン)は、“本当”の“深い”人生を生きるために、軍隊を去ることを決めて帰って来る。テレビのスター司会者として活躍する次女(ソプラノ)は、その思考と存在で陰気なこの家庭に色彩をもたらすが、妊娠中でいつも喪服見せびらかす長女(メゾソプラノ)、亡くなった子どもの後に引き取られた、不可解な思春期の末娘(ソプラノ)。そして、いつも何のことか解らない演説をする長女の婿(テノール)、テレビの歌手を真似て、鏡に映る自分を見る使用人のおばさん(女優:原作の劇中と同じ女優が演じる)。

閉鎖的で奇妙なこの家族は、奇妙だがあり得ることとして聴衆の内面を心理的に暴き、この家族通じて、現代社会の仕組みや資本主義のあり方を、根本的に考え直し批判する。

このオペラの原作の劇「Au Monde」が、2014年1月28日~2月2日、Théâtre Nationalで、上演されます。劇もオペラの演出も、原作者J. Pommeratで、劇版とオペラ版を比べて鑑賞できる稀なチャンスとなります。