♪ Alceste アルセスト
作曲:Christoph Willibald Gluck (グルック 1714~1787)
内容:グルックは、音楽はドラマに密着しているべきだと主張して 歌劇改革をしたが、前作「オルフェオとエウリディーチェ」に続き オペラ改革をさらに進めた作品。フランス語3幕
第1幕
第1場
王宮広場に伝令が現れ 王アドメットが危篤状態に陥ったと告げる。悲しみにくれる王妃アルセスト(ソプラノ)が息子達と現れ 人々に「神の慈悲を願おう」と言い、共に神殿に向かう。第2場 大祭司(バス)が 人々と祈っている所へ アルセストが現れ一緒に祈る。神託のある気配に 大祭司が皆を静かにさせると「誰かが王の身代わりにならなければ王は死ぬであろう」という 予言者の声が聞こえる。恐ろしい神託に驚き 人々は逃げ出すが、悲しみに打ちひしがれたアルセストは、ついに 彼女の命を 王の命の為に犠牲にする事を決心する。彼女の祈りを聞いた大祭司は「神が その願いを聞きとげ、彼女の命の代りに王は救われる」と告げる。アルセストは夫アドメットの為に死ぬのは、却って嬉しい事だと アリア“地獄の神々よ”を歌う。
第2幕
人々が 王宮の広間で 王の病気が急に良くなった事を喜んでいる。王アドメット(テノール)が「この快癒を誰に感謝すべきか」と問うと、人民の代表エヴァンドレ(テノール)が 「誰かが王の為に命を捧げたのだ」と神託の内容を説明する。王がアルセストの不在を問い、彼女は神に祈りに行ったと答える所に 彼女が現れる。王は王妃に「もう苦痛はない、共に喜んでくれ」と言うが、彼女が あまり元気にならないのを見て訝り、何かあったのかと尋ねる。始め王妃は 真相を話さないが 王が問い詰めるので、彼を救う為に神に命を捧げたのが自分である事を告白する。王は驚き、離れて聞いていた人々も集まる。王は「彼女と一緒に神殿に行き、 神に このような犠牲は差出せないので 元に戻してくれるように祈ろう。もしそれがかなわないのならば 彼女と死を共にしよう」と言うが、もはや 彼女には死が近づき、人々は悲しむ。
第3幕
死の神の祭壇がある 地獄の入口に アルセストが入ろうとするが、地獄の神が 昼に入る事を拒否して 夜を待つように命じる。そこへ アドメットが現れ、彼女の代りに自分が死ぬか、不可能ならば一緒に死のうと言う。アルセストは2人の息子の事を考え 思いとどまらせようとするが 彼の決意は固い。2人が 祭壇に近づいた時 死の神(バス)が現れ「1人だけしか死んではならない」と言う。アルセストが「私の為に黄泉の扉を開けて」と叫び 夫に別れを告げる。アドメットは彼女を止めるが 死の神が彼女を黄泉の国へ連れて行き、後を追おうとしてもかなわない。その時 ヘラクレス(バス)が現れ アドメットに彼の願いは神に聞き届けられたと告げるうちに、アポロン神(バリトン)自身が現れ「この様な 2人の強い愛と けなげな行いに 神々が心を動かされ、2人共 この世に留める事を決めた」と告げる。アルセストは アドメットのもとに戻され、駆けつけた人々の 喜びの合唱のうちに幕となる。