♪ I Grotteschi「イ・グロテッシ」世界初演
作曲:Claudio Monteverdi(モンティヴェルディ1567~1643)
内容:モンテヴェルディは≪オペラ≫がまだ生まれていなかった1607年に、ギリシャ悲劇の復活として≪音楽による劇(Dramma per Musica)≫という新しい音楽様式を作り上げ、詩人オルフェオが、冥界に愛しいエウリディチェを探しに行く「オルフェオ」を作曲する。また晩年には、トロイ戦争に行って帰らぬ夫を待つペネローペの物語の「ユリッセの帰還」、ローマ皇帝ネロが、寵愛するポッペアを皇后とする「ポッペアの戴冠」を作曲し、彼の数多いオペラ名作の中からこの3つの代表作を基盤に、モネ劇場が世界初演の新作オペラを創り、2晩に分けて上演する。
あらすじ
この3つのオペラの登場人物は計50人を超えるが、この新作「イ・グロテッシ」では演出家で台本を書いたRafael R. Villalobosが、それぞれの役に複数のキャラクターを持たせて一握りのグロテスクな登場人物に縮小した。時は現代で、コロナ・パンデミックの最中に、外と遮断されながらも家族経営のビジネスに成功したある家族の物語。オルフェオがエウリディチェの死を悼む一方、ペネローペは重病の夫ユリッセを辛抱強く見守り、この状況を利用して、若いネロは野心的なポッペアとともに帝国を掌握する計画を立てるという、それぞれの物語を内包し、家族は喪失感と欲望の狭間で、徐々に息詰まる権力闘争にと陥っていく。