♪ Oedipe オイディプス
作曲:George Enescu (エネスコ1881~1955)
内容:ルーマニア人エネスコはパリ音楽院で学び、優れたヴァイオリニストであると同時にルーマニア民俗的要素を取り入れた作曲家。ソフォクレスの同名のギリシャ悲劇を基にE. Flegが台本を書いたこのオペラは、オイディプス王の全生涯の物語。
4幕6場 フランス語
あらすじ
第1幕
テーベの神殿では、人々がライオス王 (テノール) と王妃イオカステ (メゾソプラノ) の男児誕生を祝っている。そこへ老いた盲目の預言者ティレシアス (バスバリトン) が現れ、祝いを中断し、アポロの禁止命令に背いて子どもを持ったライオス王を非難して、その罰としてその子はいつか父を殺し、母を娶る (めとる) ことになるだろうと言う。ライオス王は羊飼い (テノール) を呼び、乳児を山の中に捨てて来ることを命ずる。
第2幕 第1場
20年後、捨てられたはずの乳児はオイディプスと名づけられ、コリントでフォルバス王 (バス) とメロープ王妃 (コントラアルト) の王子として成人していた。自分がフォルバス王とメロープ王妃の実子ではないと聞いたオイディプスは、デルフィまでアポロンの神託を伺いに行き「お前は父を殺し、母と結婚するであろう」と予言される。フォルバス王とメロープ王妃の実子だと思っているオイディプスは、予言を避けるためコリントに戻らずに旅に出る。
第 2場
乳児だったオイディプスを森に放棄出来なかった羊飼いが、嵐から羊の群れを避難させている。旅の夜、悪夢ばかりに悩まされているオイディプスが現れ、狭い三叉路でどの道に進めば良いのか迷う。そこへ老人を乗せた馬車と従者がやって来て、オイディプスと道の押し退け合いのはてに争いにになり、オイディプスは老人を殺してしまう。その老人こそ彼の本当の父ライオス王であり、羊飼いはその一部始終を目撃する。
第3場
テーベでは怪物スフィンクス (メゾソプラノ) が人びとに難題をふっかけて、市民を恐怖に陥れている。ライオス王の亡き後、イオカステ王妃の弟クレオン (バリトン)が摂政にたち「スフィンクスの謎を解きこれを退治した者を、イオカステ妃の夫としてテーベの王とする」とふれを出す。テーベにたどり着いたオイディプスが市民を助けるために見事にスフィンクスの謎を解き、スフィンクスは死ぬ。オイディプスは予言通りに母イオカステと結婚し、テーベの国王となる。
第3幕
テーベ市民は、その後20年間オイディプス王を歓迎して平和に過ごしていたが、疫病が流行し、摂政クレオンがデルフィまで神託を授かりに行くと「前ライオス王を殺した殺人犯がこの町に住んでいる。彼が罰せられない限り疫病は収まらない」と告げられる。クレオンは預言者ティレシアスと羊飼いを召集する。オイディプス王自身も懸命に捜査し、コリントからは養父フォルバス王も到着する。やがてオイディプス王自身が殺人犯で予言通りに呪われた者であることが判明する。真相を知った母イオカステ王妃は自害し、オイディプスは自ら両目を潰す。クレオンは彼に追放を命じ、オイディプスの愛娘アンティゴヌ (ソプラノ) が、父の放浪の旅の供をすることにして、2人でテーベを出て行く。
第4幕
何年かの後、オイディプスとアンティゴヌはアテネの近郊のコロヌスの果樹園に到着する。アンティゴヌは、そこで父オイディプスが安らかに永眠出来ることを察して、彼にその場所を話し聞かせる。突然クレオンが現れ、彼女を人質にし、テーベが再び災難に見舞われているのでオイディプスに王位に戻ることを頼むが、オイディプスは拒否する。テセウスとアテネの市民が、クレオンからアンティゴヌを開放してクレオンを追い払い、オイディプスを歓迎するが、オイディプスは愛娘アンティゴヌだけを傍に永眠の場所に落ち着いて幕となる。