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♪ Turandot「トゥーランドット」

by hidepost, le 15 avr 2024

作曲:Giacomo Puccini(プッチーニ1858~1924)

内容:ペルシャなどに古くから伝わる「謎かけ姫物語」の題材は、フランス人のフランソワ・ペティが1712年に出版した「千一日物語」の中の「カラフ王子と中国の王女の物語」で欧州に伝えた。それを元に1762年ヴェネチア人のゴッツィが戯曲を書き、ロッシーニを含む多数の作曲家がこの物語をオペラ化した。プッチーニは、中国から帰国した外交官から中国のメロディーを奏でるオルゴールを借りてメロディー採集などをしたが、病に侵され、作曲スケッチの最後の23ページを残して他界し、「リューの死」以降はFranco Alfanoが作曲した。第3幕のアリア«誰も寝てはならぬ»はとくに有名で、幻想的で近代歌劇の要素を高次元に融合した名作。全3幕 イタリア語

あらすじ

第1幕

伝説時代、北京紫禁城の城門前に役人(バリトン)が登場し、「美しいトゥーランドット姫に求婚する男は、まず王子であること、そして彼女の出題する3つの謎を解かなくてはならず、解けない場合はその王子の首は切られる。今日も謎解きに失敗したペルシアの王子が、月の出とともに斬首されることになった」と群衆に宣言する。処刑を見に行こうと騒ぐ群衆に紛れて、敗戦し祖国を追われて姿を偽って放浪しているダッタン国の盲目の王ティムール(バス)と、その王子カラフ(テノール)が、女召使いのリュウ(ソプラノ)を従えて現れる。雲間から月が出て人々は月に祈り、美しいが氷のような冷たい心を持つと言われるトゥーランドット姫がテラスを通る。一目見て姫の美しさの虜となったカラフは、父王ティムールと召使のリュウが止めるのもきかず、自分も姫の謎に挑戦すると決心し、宮殿の扉の前にある銅鑼(どら)を鳴らして求婚者宣言をしようとする。その時、処刑されるペルシャの王子(テノール)が「トゥーランドット」と絶叫するのが聞こえ、宦官のピン(バリトン)、ポン(テノール)、パン(テノール)が、カラフに「馬鹿な挑戦は止めよ」と面白可笑しく忠告するが、カラフは決意を固くする。首切り役人がペルシャの王子の首を持って現れ、リュウは、泣きながらアリア«王子様お聞きください»を歌って引き留めるが、カラフは«泣くなリュウ»を歌って優しく彼女を慰める。カラフは銅鑼を鳴らして3度「トゥーランドット」と叫んで姫の求婚者宣言をし、3人の宦官は若者の無謀な挑戦を嘲笑する。

第2幕

第1場 3人の宦官が、トゥーランドット姫のために数々の王子が殺されたことを語り、早く姫の心が溶けて愛の夜を迎えられるようにと面白可笑しく歌う。

第2場 謎解きを見物するために群衆たちが集まり、万歳が叫ばれる中、正面の大階段の上にトゥーランドットの父である皇帝アルトゥム(テノール)が登場。皇帝はこの謎解きの掟は厳正であることを伝えてカラフに思い留まらせるが、彼は聞く耳を持たない。トゥーランドット姫が登場し、アリア«遠い昔»で、「かつて美しいロウ・リン姫は、異国の男性に騙され、絶望のうちに死んだ。自分は彼女に代わって世の全ての男性に復讐を果たすのだ」と、この謎解きの由来を語る。謎解きが始まり、第1の謎「毎夜生まれては明け方に消えるものは?」「それは希望」、第2の謎「赤くて炎の如く熱いが、火ではないものは?」「それは血潮」とカラフは2つの謎に正解する。最後の謎「氷のように冷たいが、周囲を焼き焦がすものは?」カラフは暫く悩むが、これも「トゥーランドット!」と正答する。喜ぶ群衆。トゥーランドットは、父アルトゥム皇帝に「私は結婚などしたくない」と哀願するが、皇帝は「約束は約束」と受け付けない。 それを見ていたカラフは「私も1つの謎を出そう。私の名は誰も知らないはず。明日の夜明けまでに私の名前を解き明かすのなら、貴女に私の命を捧げよう」と提案する。

第3幕

第1場 トゥーランドット姫が「今夜は誰も寝てはならぬ。求婚者の名を解き明かすことができなかったら皆死刑とする」と命令し、北京の人々は寝ずに彼の名を調べている。カラフは、有名なアリア«誰も寝てはならぬ»で「姫も冷たい部屋で眠れぬ一夜を過ごしているに違いない。夜明けに私は勝利するだろう」とその希望を高らかに歌う。3人の宦官は、美女たちや財宝を彼に提供し、姫への求婚を取り下げるよう言うが成功しない。そこへカラフの父ティムールとリュウが、求婚者の名を知る者として捕縛され連行されてくる。リュウは自分だけが彼の名前を知っていると、ティムールを庇い拷問を受けるが口は割らない。そこに現れたトゥーランドットが、「なぜそのような激しい力を持っているのか」とリュウに尋ね、彼女はアリアで«それぞ恋の秘密»と答え、続けて«氷のような姫の心も»を歌い、兵士の短剣を奪って自殺する。ティムールはリュウの体に取りすがって泣き、人々は立ち去り、トゥーランドットとカラフだけが残される。カラフが姫にそっと愛を囁くと、リュウの献身と愛を目の当たりにした姫の冷たい心は溶け始め、彼の接吻に涙を浮かべる。カラフは姫の耳元で「私はダッタンの王子カラフ」と名を告げ、姫は「名前が判った」と叫んで人々を呼ぶ。

第2場 群衆が集まり、姫は父アルトゥム皇帝の前にカラフを伴って進み「彼の名は愛」と宣言し、群衆は愛の勝利を高らかに賛美し、皇帝万歳と歌い幕となる。