世界遺産を訪ねて ベルギー鐘楼巡り(5)『アールスト Aalst』
商工業の町として栄えているアールスト
Aalst (フランス語表記では Alost )は、 9 世紀中頃、
Alost として歴史上に登場しました。語源は Alus Oth 。「ハンノキの森」という意味です。アールスト周辺地域はホップの生産地であり、
3 月中旬から 4 月にかけてレストランのメニューにホップ料理が登場します。また、アールストは「タマネギの町」としても知られています。
鐘楼が組み込まれている建物は、
1225 年に建設された旧議員会館です。 1360 年の火事で鐘楼とともに焼け落ちてしまいますが、どちらも
15 世紀に修復、再建されています。
鐘楼は八角形の塔。中を見学することはできませんが、美しく配置されたカリヨンが外からでもよく見える設計になっていて、高い塔だからというだけでなく、そのデザインによってとりわけ目を引きます。
52 個の鐘で構成されているこのカリヨンは、ベルギーで最も古いもののひとつです。鐘楼には、都市の権力と個人の自由を象徴する、騎士と、武装した市民の像が飾られています。
鐘楼の前に建つ銅像( 1856
年建造)は、人道主義者 Dirk Martens ( 1446 〜 1534
)。彼は南ネーデルランドに印刷技術を持ち込み、 1473 年に最初の印刷所を建てました。そして友人であるエラスムス
Erasmus の作品や、トーマス・モア Thomas More の「ユートピア Utopia
」、コロンブス Columbus の旅行記などを発行しています。後に、 Leuven カトリック大学の教授になりました。
鐘楼のカリヨンコンサートは
6 月から 9 月に開催されますが、それ以外の時期でも毎日、自動演奏が行われています。
♪♪鐘楼ひと口コラム♪♪
ベルギーで最古とされるアールストのカリヨンですが、美しい音色は色褪せることはないようです。カリヨンで様々な曲が演奏されていることは、以前にもご紹介しましたが、カリヨンが楽器として飛躍的に発達したのは16世紀、鍵盤が考え出されてからのことです。17世紀には足用のペダル鍵盤が導入され、楽器として完成されました。最低でも30個の鐘(2オクターブ半)が必要だそうですが、47個(4オクターブ)を基本としています。
それにしても、鍵盤は弾くというより、げんこつで叩くといった方がふさわしく、演奏するのに他の鍵盤楽器とはまた違った体力がいりそうです。
そぞろ歩きスポット
● グロートマルクト Grote Markt
● 市庁舎 Stadhuis / 1830 年に建てられたネオクラシック様式のファサード(建物の正面)。中庭の奥は旧
Landhuis カントリーハウスで、一部分ロココ様式で再建されています。
● Borse van Amsterdam/かつて肉屋会館の建物でしたが、1630年にリールLilleとアムステルダムAmsterdamを結ぶ通商路の中継点として建て替えられました。現在はレストランになっています。
● 聖マルティン教会 St.
–Martinuskerk/1480年着工。16世紀に起きた戦争により建設は中断、1730年にバロック様式の入り口が建てられましたが、未完成に終わりました。
● 旧病院博物館
StedelijkMuseum Oud-Hospitaal/14世紀から16世紀にかけて病院だった建物。現在は市立博物館になっています。入場無料。月曜休館。
★アールスト豆知識★ ※主なお祭り/「灰の水曜日」(年によって変わります。 2003 年 3 月 5 日、 2004 年 2 月 25 日)の前の日曜、月曜、火曜に開催されるカーニバル。行列、踊り、タマネギ投げ(といってもタマネギの形をしたお菓子を投げる)などが賑やかに繰り広げられる。 ※ビール/ DirkMartensbier ※食べ物/タマネギ料理(オニオンスープ、オニオンパイなど)、ホップ料理、チーズ( DirkMartenskaas)