世界遺産を訪ねて ベルギー鐘楼巡り(4)『メッヘレン
Mechelen』
ブリュッセルとアントワープの中間、ダイルDijle川の沿岸で発展したメッヘレンは、オーストリアのマルガレーテ(神聖ローマ帝国皇帝マクシミリアン1世の娘)が統治していた時代(1507年〜1530年)、ネーデルランドの首都として繁栄した華麗な歴史を持っています。
世界遺産に指定された鐘楼は2つあります。
ひとつは街のランドマークともいえる聖ロンバウツ大聖堂の塔。97mの高さは見る者を威圧するものさえ感じさせますが、最初の計画では167mの塔に仕上げられる予定でした。1452年着工、しかし経済的な理由で1520年頃建設は中断されてしまいます。この塔にはそれぞれ49個から成る2組のカリヨンが設置されています。総重量は80t。塔の高さ約60mのところに設置されているのは、12人の鋳造師の手によって主に15世紀に製造された鐘で構成されています。そして75mのところに1981年新しいカリヨンが設置されました。ガイド付きツアーで塔(螺旋階段は514段)を登ることができます。
もうひとつは現在市庁舎となっている、グロート・マルクト(広場)の東に位置する旧繊維取引所の中心に建てられた鐘楼。ブルージュの鐘楼をモデルにして14世紀に建造され始めましたが、繊維産業が衰退し資金繰りが困難になり未完成のままで工事は中止されました。鐘楼のわりに低いのはそのためです。市庁舎は違う建物が3つ並んでいるように見えますが、元はひとつの建物でした。1526年、建物の左翼部分を取り壊し、大会議議事堂(最高裁判所)の建設が開始されます。マルガレーテの死後、カール5世によって首都がブリュッセルに移されたのを機に、1547年工事は中断されましたが、20世紀に入ってようやく建設が再開され、1911年、ネオ・ゴシック様式の建物が完成しました。真ん中の鐘楼部分は16、17世紀にルネッサンス様式の側塔を増設するなど、何度か改装されています。また右翼の部分も修復、改装されましたが、もとの繊維取引所の面影を残しています。
※街のガイド付きツアー、聖ロンバウツ大聖堂の塔のツアーは復活祭から9月末までです(観光案内所で当日申込み。2.5ユーロ)。シーズンオフに入ってしまいましたが、来年ぜひ参加してみてください。またここではご紹介しきれませんが、博物館によっては閉館するシーズンもありますのでご注意ください。
♪♪鐘楼ひと口コラム♪♪
メッヘレンは「カリヨンの街」とも呼ばれています。カリヨンが設置されているのは教会の塔や市庁舎の鐘楼など、所によって違いますが、メッヘレンには聖ロンバウツ大聖堂の塔の2組の他に3組、合計5組のカリヨンがあります。
ひとつはダイル川河岸聖母教会のもので鐘は50個、9123kg。2つ目がブスレイデン邸のもので鐘は49個、2541kg。そしてHanswijkという名のモバイル(!)のカリヨン。モバイルなだけに560kgとかなり軽量です。
そぞろ歩きスポット
●グロートマルクト Grote
Markt/地下駐車場建設の計画があり、工事にあたって遺跡発掘調査中(2002 年9月現在)。ローマ時代の遺跡が間近に見られます。
●市庁舎 Stadhuis (鐘楼付き旧ホール)
●街に伝わる木の人形>
Op-Signoorkをモデルにした像。
● span> ブスレイデン邸博物館Museum Hof van Busleyden/かつての貴族の館(1508年建造)。1935年から市立博物館。絵画、彫刻、カリヨン、家具などが展示されています。
● span>カリヨン学校/世界で最初に創設(1922年)
● 聖ロンバウツ大聖堂 Sint-Romboutskathedraal/翼廊にヴァン・ダイクの「磔刑図」があります。
● span> ベギン会院 Begijnhof
● span> ダイル川彼岸聖母教会 Kerkvan
Onze-Lieve-Vrouw-over-de Dijleルーベンスの絵画「奇跡の漁り」があります。
★ メッヘレン豆知識★ ※もうひとつの世界遺産/ベギン会院 ※主なお祭り/ハンスウェイク大行列Hanswijk Procession(聖母被昇天祭の直前の日曜日)、花と野菜行列(9月第2日曜、祭りの最後に建物の上からくじの入った小鐘が投げられる) ※ビール/MechelschenBruynen(黒ビール)、Toison d’or(金羊毛騎士団)、Gouden Carolus(黄金のカール) ※食べ物/鶏肉料理「ククックkoekoek」、白アスパラガス、シコン、カリフラワー ※その他/レース博物館、鉄道博物館など