世界遺産を訪ねてベルギー鐘楼巡り(3)『オウデナールド
Oudenaarde』
東フランドル地方第ニの都市と称されるオウデナールド。街の誕生は要塞が建設された10世紀とされていますが、歴史上に名前が出てくるのは11世紀、フランドル伯が城塞と礼拝堂をスヘルデSchelde川のほとりに築いた時です。
街は毛織物で発展し、その後タペストリー製造へと業態を変え、栄華を極めるのはカール5世(1500〜1558、神聖ローマ帝国在位1519〜1556)の時代。グロートマルクト(広場)に市庁舎が建てられたのはその全盛期のことで、1526年建設に着手、1536年に完成しました。鐘楼(高さ40m)は左右対象の市庁舎の中心に組み込まれています。
設計者はブリュッセルとルーヴェンの市庁舎建設も手掛けたヘンドリック・ヴァン・ペーデHendrik
VanPede。建物はブラバント・ゴシック様式で、全体に豪華な装飾が施され、その姿はとても優雅。鐘楼の先端で右手に楯の形をした旗を持って街を見下ろしている金メッキの像は、スペインの勇士Hanske
deKrijgerで、銀細工職人WillemBlansterinsの作です。
鐘楼に登ることはできませんが、市庁舎の中は見学できます(ガイド付き。平日11時と15時、土日・祝日14 時と16時のそれぞれ2回。入場料4ユーロ。集合場所は市庁舎1階のインフォメーション)。市庁舎の中には16、17世紀のタペストリー、銀器、絵画など貴重な作品が展示されていて、これらの中には非常に高価な、いわば「お宝」がたくさんあり、街のひとつの自慢でもあるようです。
ところで、市庁舎の鐘楼には鐘がひとつ設置されているのですが、カリヨンの音色がどこか他の所から聴こえてきます。これは、すぐ近くにある聖ワルブルガ教会Sint-Walburgakerkの塔のカリヨンが奏でる音なのです。鐘の数は49個。専属のカリヨン奏者がいて毎日曜日11時45分から12時45分まで生演奏をします(7、8月は木曜日20時30分から21時30分にも演奏があります)。
♪♪鐘楼ひと口コラム♪♪
鐘楼の頂上には、伝説の生き物、守護聖人、伝承人物など、たいてい何か象徴的なものがつけられています。オウデナールドの鐘楼の頂上を飾る勇士の像Hanskeにはこんな伝説があります。鐘楼の見張り役をしていたHanskeはいつもうとうとしていて、皇帝カール5世の来訪時もお出迎えに遅れること多々あり、あきれた皇帝がよく見張りができるようにメガネでも買え、と言ったとか。というわけで、Hanskeの像が手にしている旗にはメガネがデザインされています。街を見守る頂上のシンボルたちも、鐘楼に彩りを添えてくれているようです。
そぞろ歩きスポット
●マルガレータ・ファン・パルマの家 Huis Margaretha
vanParma/マルガレータは、カール5世がオウデナールド滞在中にできた庶子。
● span> ルイ14世から寄贈された噴水
● 聖ワルブルガ教会 Sint-Walburgakerk
● span> ララン館 Huis deLalaing/建物の名前は、16世紀に領主だったPhilip
de Lalaingに由来。タペストリー制作実演の見学ができます。またここは古いタペストリーの修復工房でもあります。
● span> パメル聖母教会Onze-Lieve-Vrouw van Pamelekerk
● span> ベギン会院 Begijnhof
★オウデナールド豆知識★
※主なお祭り/ビール祭りAdriaanBrouwer
Bierfeesten(毎年6月最終金・土・日)。グロートマルクトで開催。AdriaanBrouwerはオウデナールド生まれの画家の名前。 ※工芸品/タペストリー。「若草色の緑」が特徴。 ※ビール/Liefmansのブラウンビール、Romanの修道院ビール「Ename」。オウデナールドにはその他Cnudde、Clarysseを加え、全部で4つの醸造所がある。