ベルギー鐘楼巡り(8) 『コルトレイク Kortrijk(蘭)/Courtrai(仏)』 レイエLeie川のほとりでフランドル地方の他の町と同様に織物業で発展したコルトレイク。今でも東南フランドル地方の経済の中心的位置にあります。その起源はローマ時代に遡りますが、その名が歴史に深く刻み込まれたのは「黄金の拍車の戦い」(1302)の戦地となった時です。 当時、織物業の発展で台頭してきた都市貴族(世襲貴族)の搾取に対する、労働者・職人たち都市平民の反乱がフランドル各地で起きていました。フランドルではフランスの支配が強化されていた時期で、貴族たちは平民たちの反乱を押さえるためにフランス国王に援助を求めましたが、民衆の反乱は侮れないものでした。フランス国王フィリップ美男王が巻き返しを図ろうと、コルトレイクに無敵の騎士団を送り込みます。しかし、フランドルの平民軍隊は彼らを圧倒、ついに勝利をおさめ、戦死した騎士たちから700もの黄金の拍車を奪い取りました(黄金の拍車は君主から与えられる騎士の印)。この黄金の拍車は聖母教会の天井に飾られましたが、1382年、再びフランスの攻撃を受けて敗北。拍車はフランスに持ち帰られ、現在は1対のみが残されています。黄金の拍車の戦いが行われた7月11日は、現在、勝利記念日となっており、フェスティバルが開催されます。 さて、コルトレイクの鐘楼はそんな時代、14世紀に建造されました。もとは繊維会館の一部でしたが、建物は1897年から1899年にかけてレンガの強制収用によって取り壊され、鐘楼だけが残されました。鐘楼はその後、二度の大戦をくぐり抜け、1950年代からの修復を経て、もとの形を取り戻しています。塔の頂上には金色に輝くマーキュリー(商業の神様)が、そして鐘が設置されているあたりには、ManteとKalleと名付けられた、鐘を打つ人形が飾られています。48個からなるカリヨンが設置されており、15分おきに時刻を知らせています。カリヨンの演奏は、毎年7月の毎月曜日20時より行われており、バッハ、ハイドン、ベートベンといった古典から、グレン・ミラー、バート・ハワード、ビートルズなど現代のものまで、曲目はさまざまです。また8月には毎月曜日20時より、鐘楼のあるマルクト広場からすぐ近くにある聖マーチン教会Sint-Maartenskerkの塔でカリヨンの演奏が行われます。
9.2003
Copyright 2001-2005 PETITS-POIS a.s.b.l.
All right reserved. No reproduction or republication without written
permission. Petits-Pois に掲載の記事・写真の無断転写を一切禁じます。 |