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Bluebeard’s Castle 「青ひげ公の城」

by hidepost, le 20 mar 2018

作曲:Béla Bartók(バルトーク1881~1945)

内容:バルトークの唯一のオペラ作品である「青ひげ公の城」は、欧州にある「青ひげ」の伝説を源泉にした、C.ペローの童話集や、M.メーテルリンクの戯曲を基にB. バラージュが台本を書いた。≪男女関係の絶望的状態(グリフィス)≫というテーマを扱っている。 登場人物2人だけの約1時間1幕のオペラ。ハンガリー語

あらすじ:

プロローグ 吟遊詩人が現れ、「これから古城をめぐる古い言い伝えを語ろう。この物語は、瞼で分けられた内側と外側、つまり自分自身と他人との関わりのお話」と語り幕が上がる。

青ひげ公(バリトン)が、新妻ユディット(ソプラノ)を、初めて、暗く湿っていて7つの大きな扉がある自分の城に連れて来る。青ひげはユディットに「後悔はしないか?」と尋ねるが、彼女は「親兄弟と辛い別れをして来たのだから、この暗い城を明るくし、湿った壁を乾かすわ。さあこの城の全てを見せて」とけなげに答える。「7つの扉も開けて」と言うユディットに、青ひげは拒否するが、彼女は第1の扉に行き、扉を叩くと中から不気味なうめき声が聞こえる。青ひげはしぶしぶ鍵を渡す。

1の扉を開けると中から赤い光が漏れ、そこは拷問部屋。壁は血で濡れていて、悲鳴を上げるユディット。音楽は«血のモチーフ»が鳴る。怯えながらも城に太陽の光と風を通す希望を捨てない彼女は、次の扉の鍵を要求する。

2の扉 そこは武器庫で、«血のモチーフ»が聞こえる中、ユディットはすべての武器に血がこびりついているの見る。「愛しているのだから全てを知りたい」と言って、彼女は3つ目の扉の鍵を要求する。

3の扉の前でユディットは躊躇するが、決意を新たに開けてみると、黄金色が射し、音楽も明るく鳴り響く。そこは輝く宝石にあふれた宝物庫で、彼女は素晴らしい財宝に喜ぶが、豪華な王冠に血が付いているのを見てしまう。青ひげは「第4の扉も開けて、陽の光を入れよう」と言って、彼女に鍵を渡す。

4の扉 その扉を開けると、今度は緑色の光が流れ出す。青ひげは「ここは私の秘密の庭だ。どんな花もお前の言う通りになる」と話し、ユディットは驚嘆するが、またもや花に血痕を見つける。「この花園に血を撒いたのは誰」と問い詰める彼女に、「何も訊くな、ただ愛するのだ」と青ひげは答え、第5の扉を開けさせる。

5の扉を開けると、輝かしい音楽が響き、青ひげは自慢げに「これは私の広大な領地で、美しく大きな国だ」と賛美して歌う。ユディットは呆然とするが「でも空の雲が血のように赤い」と呟く。青ひげは「これら総てはお前のものだ。充分な光が入ったからこれ以上扉を開けるのは止めよう」と主張するが、ユディットは残りの扉も開けるように迫り、第6の鍵を手にする。

6の扉 すすり泣くような低い声が聞こえ、中には静かな湖が見える。青ひげは「これは涙の湖だ」と説明し、その不気味な静けさにユディットは打ちひしがれる。2人はようやく抱擁し、青ひげは「最後の扉は開けない」と言うが、ユディットは彼が以前に愛した女性のことを問う。嫉妬が不信を招いて、今まで見た血痕が彼の前妻たちの血だと考えたユディットは「あの7つ目の扉の中には、噂通りに貴女の愛した女性が殺されている」と言ってしまう。青ひげは観念して7つ目の鍵を渡す。

7の扉の鍵を開けると、中から3人の美しい女性が現れ、青ひげとユディットの前に立つ。ユディットは「生きている。目もくらむほど美しい」と息をのむ。青ひげは「第1の女を見つけたのくれないの朝、第2の女と出会ったのは黄金の正午、第3の女に会ったのは夕暮れだった」と話し、「第4の妻ユディットに出会ったのは星の輝く夜だった」と言い、ユディットに近づく。青ひげは、彼女にマントを着せて王冠をかぶせ「全ての夜はお前のものだ。お前が一番美しい」と言い、ユディットは3人の女たちと共に静かに第7の扉へと消えてゆく。青ひげは「これで、もういつまでも夜だ」と呟き、第7の扉も閉じられ、城は元の暗闇に戻り幕となる。