♪Die Fledermaus「こうもり」
あらすじ 第1幕 3年前のある仮装舞踏会の帰り、資産家アイゼンシュタインが、酔っぱらった友人ファルケ博士を、こうもり姿の仮装のまま道ばたに置き去りにして以来、ファルケ博士はみんなから「こうもり博士」と呼ばれていて、いつかアイゼンシュタインに仕返しをしたいと考えているところからオペラは始まる。
幕が上がると、大晦日、資産家アイゼンシュタインの家の外では、アイゼンシュタイン夫人ロザリンデのかつての恋人声楽教師アルフレート(テノール)の、ロザリンデに寄せる愛の歌が聞こえる。小間使いのアデーレ(ソプラノ)は、姉からオルロフスキー侯爵邸で開かれる晩餐会への招待状をもらい、ロザリンデ夫人(ソプラノ)に外出許可を求めるが、けんもほろろに断られる。一方、アイゼンシュタイン(テノール)は役人を侮辱した罪で、裁判にかけられ、さらに弁護士ブリント(バス)の不手際で8日間も刑務所に入らなければならなくなり怒っている。そこへファルケ博士(バリトン)が登場。楽しいパーティがあるから刑務所に入る前にこっそり行こうと誘う。喜んだアイゼンシュタインがパーティに出かけると、家に残された妻ロザリンデは、それでは自分も楽しもうと、小間使いアデーレに外出許可を与え、元恋人のアルフレートを家に招き入れる。アルフレートがまるで本当の夫のように振る舞っていると、そこに刑務所長フランク(バリトン)が、アイゼンシュタインを刑務所へ迎えにやって来る。アルフレートは 今更自分は夫でないとは言えずに刑務所に連行されてしまう。
第2幕 ロシアの貴族オルロフスキー侯爵邸では華やかに舞踏会が行われている。オルロフスキー公爵(メゾソプラノ)は、ファルケ博士に何か面白い事は無いかと尋ね、ファルケ博士は、今夜は“こうもりの復讐”という楽しい余興があると告げる。女優オルガと名乗ってロザリンデのドレスを着込んだ小間使いアデーレや、フランス人侯爵ルナールを名乗るアイゼンシュタインが登場。刑務所長フランクもフランス人シャグランの偽名でやって来て、アイゼンシュタインとめちゃくちゃなフランス語で挨拶する。そこへ、ファルケ博士から手紙をもらったロザリンデも、仮面をかぶってハンガリー伯爵夫人に変装して現れる。アイゼンシュタインはこの伯爵夫人に目をつけ、自慢の懐中時計を取り出して、妻とはまったく気が付かずに口説きだす。懐中時計を夫の浮気の証拠にしようと考えたロザリンデは、言葉巧みにこれを取り上げる。人々が仮面の女性の正体を知りたがるので、彼女はハンガリーの民族舞踊チャールダーシュを歌って「私はハンガリー人よ」と言う。更に人々はファルケ博士に“こうもりの話”をしてくれと言い、ファルケ博士は3年前の出来事を話す。みんなが華やかに歌い踊るうちに、午前6時の鐘が鳴り、アイゼンシュタインは、刑務所に出頭する時間だとそそくさと退場、フランクも刑務所に帰らなきゃと退場する。
第3幕 刑務所の中ではアルフレートが相変わらずロザリンデへの歌を歌っている。酔っ払った看守のフロッシュがくだを巻いていると、そこへ酔っ払ってご機嫌なフランクが帰って来る。酔っ払い同士が掛け合い漫才をしていると、アデーレがやってきて「自分は小間使いだけれど女優になりたい、パトロンになって」と頼み込む。しかし、人が来るのでフランクはアデーレを留置場の空き部屋に入れる。やって来たアイゼンシュタインは、牢には既に自分の代わりに別人が入っているので驚く。自分の名を名乗る者が、我が家で妻と一緒にいる所を捕まったと聞き、弁護士ブリントから服を借りて弁護士に変装し、アルフレートのために刑務所を訪れたロザリンデとアルフレートに面会する。昨日の経緯を話すロザリンデに、怒ったアイゼンシュタインは正体を現し、妻をなじる。ところが妻は昨夜のあの時計を取り出し、逆に夫をぎゃふんと言わせる。そこにファルケ博士が、オルロフスキー公爵や昨夜の人々を連れて現れ、「昨日舞踏会に誘ったのは、すべて私が仕組んだこと。3年前の“こうもりの復讐”です」と言う。では浮気も芝居なのか、と安心するアイゼンシュタイン。アルフレードはちょっと実際とは違うけどまあいいか、とつぶやく。アデーレはオルロフスキーが パトロンとなって女優になることになり、最後はロザリンデの歌う「シャンパンの歌」に皆が唱和して幕となる。