Le silence des ombres「影の沈黙」
内容:ベルギー人作家メーテルリンク(Maeterlinck)のマリオネット劇場のための3つのドラマ「タンタジールの死」、「室内」、「アラディンとパロミイド」を、フランス人作曲家で指揮者のAttahirがオペラに作曲し指揮する世界初演。
全3話 フランス語
原作の簡単なあらすじ
「La mort de Tintagilesタンタジールの死」
暗い谷底にある城の塔には、女王が住んていると言われているが、誰もその姿を見たものがない。その城の一角に住む、長女のイグレーヌ、次女のベランジエール、爺やのアグロワール。父親はすでに亡くなり、二人の兄は行方知らずで、家族には死の影が漂っている。そこへ幼い弟タンタジールが海を渡って戻されて来て、三人は帰ってきた幼いタンタジールが、塔の女王によって連れ去られてしまうのではないかと怯えている。ある日次女のベランジエールが、塔の下で「今夜にも女王がタンタジールを見たがっている」と侍女たちが話しているのを聞き、その夜部屋の扉を見張り、爺やは剣を膝に置いてタンタジールを守る。必死に抵抗する三人にもかかわらず、扉が開けられてしまうが、気を失っていたタンタジールが我に返り、扉がまた閉められて、幼な児は助かる。その夜更け、姉二人とタンタジール、爺やもぐっすりと眠りこんでいる。タンタジールは姉イグレーヌにしっかりと抱きついて姉の長い黄金色の髪を自分の手にからめ、さらに歯でも固く噛みしめている。しかし、侍女はこっそりと忍び込み、イグレーヌの髪をハサミで切って、タンタジールを連れ去ってしまう。姉たちが気づき、ベランジェ―ルがショックで失神するが、イグレーヌは道に落ちている自分の金髪をたどって、城の塔に行く。イグレーヌは夢中で塔の階段を駆け上り、塔の円天井の下にある大きな鉄の扉の隙間に自分の金髪が挟まっていたので、彼女はここにタンタジールがいると確信し、その鉄の扉を叩く。中からは弱々しい返事が聞こえ、イグレーヌは必死に扉を動かそうとするが、びくともしない。最後は絶望のうちに、重い扉をはさんで姉と弟はキスをかわし、やがてイグレーヌの耳には、扉の向こうで小さな体が倒れる音が聞こえる。
「Intérieur室内」
夕暮れ時。ある家の明かりのついた窓からは、両親、娘そして眠り込んでいる子どもの幸せそうな一家の団欒(だんらん)が見える。家の前の暗がりに、老人と見知らぬ若い男が現れ、小声で話しはじめる。その通りすがりの若い男が、娘が川に浮いているのを発見し、そこに、この家族をよく知る老人が通りかかり、この家族の娘の一人と確認し、第一発見者のその若い男を連れて家までやってきたのだ。だが二人は、家の中のあまりにも幸福な様子を目にし、家族に娘のことを伝える勇気を失っていく。担架に乗せて運ばれた娘が近づき、老人は思い切って扉を叩くが、担架が室内に運ばれても、眠りこけている子どもは目を覚まさない…。
「Alladine et Palomidesアラディヌとパロミイド」
老いた国王アブラモールは、一人の女奴隷アラディヌを連れてくる。王国に到着したアラディヌは、国王の娘アストレーヌの婚約者パロミイドに出会い、二人は一目で互いに恋に落ちる。この若い恋人たちの裏切りは、アラディヌに目を付けている国王の怒りと嫉妬を襲い掛からせる危険をはらんでいた…。