♪ Carmen「カルメン」
作曲:Georges Bizet(ビゼー1838~1875)
内容:世界中で公演されているこの有名なオペラは、フランス人作家P. Mérimée (1803~1870) の小説「カルメン」を元に、H. MeilhacとL. Halévyが台本を書いた音楽(歌) の間をセリフでつなぐオペラコミック様式で作曲されたオペラ。4幕 フランス語
あらすじ
モネ劇場での今回の演出は、セリフ部分を演出家D. Tcherniakovが書き直し、舞台設定もスペイン・セヴィリアのタバコ工場という従来の設定から離れた現代版となっています。以下のオリジナルのあらすじを参考にしてください。
第1幕
衛兵の伍長ドン・ホセの許嫁(いいなずけ)ミカエラ(ソプラノ)が、彼を訪ねてやって来る。士官のモラレス(バリトン)が「もうすぐ衛兵交代の時間だから彼はそろそろ来るだろう」と言うが、ミカエラは「また戻ってくるわ」と言って去り、その後ドン・ホセ(テノール)が登場する。休憩時間になった女工たちが現れ、男たちが注目するカルメン(メゾソプラノ)も、自分に興味を示さないホセを挑発しながら、有名なハバネラ≪恋は野の鳥≫を歌い、ホセに花を投げつけて去ってゆく。ホセは花を拾い上げ、カルメンの無礼な振る舞いに怒りながらも、彼女に惹かれてゆく。
そこへミカエラが戻ってきて、ホセの母からの手紙を彼に渡すと、ホセは故郷を懐かしみ「母さんの言う通り、ミカエラと結婚するよ。」と言う。
ミカエラが去ると、女工たちの喧嘩が始まり、上官スニガ(バス)の命令で、ホセは喧嘩の首謀者のカルメンを縄で縛る。しかし、カルメンはホセを「酒場で会おうよ」と誘惑し、誘惑に負けた彼は縄を緩め、彼女は逃げ去り、ホセは、逃亡を助けた罪で逮捕される。
第2幕
カルメンは、酒場でジプシー仲間のフラスキータ(ソプラノ)、メルセデス(メゾソプラノ)と≪ジプシーの歌≫を歌い踊り、ホセの上官スニガはカルメンに「ホセが今日出所した」と告げる。
そこに、闘牛士エスカミーリョ(バリトン)が現れ、有名な≪闘牛士の歌Votre toast≫を高らかに歌う。エスカミーリョはカルメンに一目惚れして去ってゆく。
続いて密輸団のダンカイロ(バリトン)とレメンダード(テノール)が、カルメンたちを密輸団に勧誘し、フラスキータとメルセデスは話に乗るが、カルメンは「恋人に会う予定があるから行けない」と断る。
出所したホセが現れ、カルメンとの再会を喜ぶが、帰隊を促すラッパの音が聞こえると、カルメンの誘惑をほったらかして帰ろうとする。お前の愛はその程度かと怒るカルメンに、ホセはカルメンに投げつけられた花を取り出して有名なアリア≪花の歌≫で熱い想いを歌う。カルメンは「私を愛しているのなら一緒に密輸団に入れ」と言い、ホセが「軍からの脱走は出来ない」と言い合うところに、上官スニガが現れる。スニガはカルメンに「こんな身分の低い奴と恋愛しているのか?」と言い、侮辱されたホセは怒り、スニガと決闘する。そこに、密輸団ダンカイロの一味が現れ、スニガを締めあげ、軍を裏切ったホセは仕方なしに密輸団に加わることになる。
第3幕
密輸団で生活するうちに、移り気のカルメンの心は、もうホセから離れている。フラスキータとメルセデスがカード占いをし、カルメンも加わるが、彼女のカードはすべて「死」と予言され、カルメンはその不吉さを不気味に思う。ミカエラがホセを探しに現れ、≪ミカエラのアリア≫で「私がかつて愛した人は汚れてしまった。カルメンは危険だけど私は恐れはしない」とホセを連れ戻す決意を歌う。
一人で見張り番をするホセは、人影を見つけ銃を放つ。その人影は、カルメンを追ってきた闘牛士エスカミーリョで、恋敵であるホセとエスカミーリョは決闘を始めるが、密輸団仲間が止める。エスカミーリョは「君たち全員を闘牛場に招待しよう。愛するカルメンも来てほしい」と言い残して去ってゆく。その時、物陰に隠れていたミカエラが見つかり、彼女はホセに「あなたのお母さんが危篤だ」と告げ、ホセに冷めたカルメンも「行け!」と言う。ホセはカルメンに「必ず戻ってくる」と言い残し、母のもとへ去ってゆく。
第4幕
人々で賑わう闘牛場。そこにエスカミーリョがカルメンを連れて登場し、彼はカルメンに「愛している」と語って闘牛場に入る。フラスキータとメルセデスは、カルメンに「ホセが人混みの中に隠れているから気をつけて」と忠告するが、彼女は「彼なんか怖くない」と気に留めない。人々が闘牛場に入り、カルメンの前にホセが現れて復縁を迫るが、彼女は「殺されようとも、私はエスカミーリョを愛している」と言い、ホセからもらった指輪を投げ捨てる。嫉妬に狂ったホセは、カルメンを短刀で刺し殺し「俺が殺した。愛するカルメン!」と叫ぶ中、幕となる。