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♪ Lucio Silla「ルーチョ・シッラ」

by hidepost, le 16 août 2017

作曲:Wolfgang Amadeus Mozart(モーツァルト1756~1791)

内容:ミラノから依頼されたこのオペラを作曲・指導するため、16歳のモーツァルトは父レオポルドとイタリアに3回目の滞在をする。前作のミトリダーテに続くこのオペラは、1772年ミラノの現スカラ座で上演され、G. de Gamerraの台本はさて置き、音楽は後期のモーツァルトを思わせ、16歳の少年の作品とは思えない秀作。 3幕 イタリア語

このオペラのルーチョ・シッラは、ローマ時代の独裁者で、謎めいて、いくぶんいかがわしい実在の人物L. C. Sulla(BC138~78年) がモデル。帝国以外の敵に対して数多くの勝利を収めた後、BC81年に終身の独裁執政官となり、無制限の権力を持った。彼は敵に対してあくまでも執念深く扱い、人間性の感覚にはまったく縁遠かった。ところが、BC80年に彼は独裁執政官の称号を返上し、市民は執政官を選ぶ権利を取り戻す。

あらすじ:

1幕 独裁者シッラに追放された元老院議員チェチーリオ(ソプラノ・男役)が密かにローマに戻り、彼の友人で、シッラの殺害を目論んでいるローマの貴族チンナ(ソプラノ・男役)と落ち合う。独裁者シッラは、追放したチェチーリオの許嫁のジュニアに横恋慕し、ジュニアにはチェチーリオは死んだと信じさせ、妹の助けを借りて彼女に強く言い寄っていた。チンナは、チェチーリオに、ジュニアが父マリウスの墓を毎日訪れていることを伝え、そこで彼女と逢うように勧める。チェチーリオは≪甘い再会の時≫を歌い再会に胸を膨らませる。

独裁者シッラ(テノール)は、妹のチェーリア(ソプラノ)と、友人のアウフィーディオ(テノール)に、ジュニアと力ずくで結婚式を挙げると言うが、そこへジュニア(ソプラノ)が現れる。シッラは優しく彼女に話しかけるが、ジュニアは「父と許嫁の敵である貴方と結婚するとでも思うのですか」と強く拒否し、シッラは≪復讐するぞ≫を歌う。

ジュニアの父マリウスの墓の前で待っていたチェチーリオは、ジュニアと再会し、喜びの二重唱を歌う。

2 怒り狂うシッラが、ジュニアを殺してやるとわめいていると、友人のアウフィーディオが「それよりも、敵将の娘と結婚して過去の恨みを洗い流したいがどうだろうと、元老院とローマ市民にはかれば、皆の希望となってジュニアもその気になるのでは」と進言する。そこへ妹チェーリアが現れ、シッラは彼女にチンナと結婚することを許可し、チェーリアは喜ぶ。マリウスの墓前で復讐を望む亡霊を見たチェチーリオが、抜き身の刀を持って現れるが、自分の手でシッラを殺害したいチンナはそれを諫める。1人になったチンナの前に、チェーリアが現れ愛を告白して去るので、彼は敵の娘の誘惑に戸惑う。そこにジュニアが現れるので、チンナは「見かけ上結婚して新婚の床でシッラを殺害しよう」と提案するが、ジュニアに断られる。チンナはやはり自身の手でシッラを殺害することを決める。

アウフィーディオが、元老院のほうもうまく結婚の根廻をしたことを報告する。シッラの姿を見たジュニアが、逃げようとしながら前にも増して痛烈に彼の愛を拒絶するので、シッラは「お前だけでなく、もう1人も殺してやる」と言う。不安になったジュニアは、許嫁チェチーリオに「危険だから、ローマを離れてください」と訴える。

シッラが人々に讃えられてカンピドーリオに入ってくる。シッラは元老院に自分の功績を述べ、勝利の褒賞として敵将マリウスの娘ジュニアとの結婚を求め「これでマリウスの霊も鎮まろう」と言う。ジュニアは結婚するくらいなら死を選ぶと言って、短刀で自害しようをするところに抜き身の剣を持ったチェチーリオが現れ彼女を護る。そこへ実はシッラの命を狙ったチンナも現れるが、不利を悟ったチンナは、シッラをチェチーリオから守るかのように振る舞い、チェチーリオには剣を捨てるように言う。シッラはチェチーリオを牢獄へ、ジュニアも鎖につなげと命じ、ジュニア、チェチーリオ、シッラが各々の想いを三重唱で歌う。
3 チンナは投獄されたチュチーリオに、一緒に反乱を起こすつもりだったが不利だったのだと説明する。そこへチェーリアが現れるので、チンナは彼女に「もし貴女が 兄のシッラがジュニアを諦め、チェチーリオを解放するように説得できたら 貴女と結婚する」と約束する。喜んだチェーリアは「なんとか兄を説得すると」立ち去る。ジュニアが牢獄に現れ、別れを惜しみ、チェチーリオは目前に迫った処刑に彼女を抱擁し≪愛する瞳≫を歌う。

チェーリアはシッラの説得を試み、ジュニアはチェチーリオの命乞いをする。シッラは、元老院と市民の前で、「もしチェチーリオを処刑すればローマの怒りを買うことになるだろう」とチェチーリオを赦し、ジュニアとの結婚も許す。チンナは自分の陰謀を告白するが、シッラはそれも許して、妹のチェリアを妻として彼に与える。シッラは「私はもはや独裁者ではない」とすべての追放者に恩赦を与え、自らの職を辞する。皆の≪偉大なるシッラ≫の合唱で寛容が讃えられて幕となる。