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♪ La favorita「ラ・ファヴォリータ」

by hidepost, le 28 fév 2021

作曲:Gaetano Donizettiドニゼッティ 1797~1848

内容:イタリアの外では、作曲者がパリのオペラ座のために1840年に書いたフランス語版が知られていたが、今回はイタリア語版。教会と国王の権力抗争を背景に、国王アルフォンソ11世は愛妾レオノーラを合法の王妃の代わりに妻に迎えようとする。しかし、そのレオノーラは修道士フェルナンドとの悲しい結末を迎えることとなる。4幕の抜粋 イタリア語

あらすじ

第1幕
第1場 夜明けの修道院回廊
荘厳さを湛えた序曲で幕が上がると、修道士たちが朝の祈りを済ませて礼拝堂に向かっている。最後を歩く修道院長のバルタザール(バス)は、物思いにふける息子の修道士フェルナンドに声をかけ悩みを話すようにと諭す。フェルナンド(テノール)は教会の祭壇の前で見かけたある美しい女性に恋をしてしまったのだと告白し、アリア≪天使のような乙女≫を歌う。父バルタザール院長は、フェルナンドに神に帰依するようにと諭すが、彼は全く聞く耳を持たない。バルタザールは彼に修道院から立ち去るように命じる。

第2場 アンダルシアのレオーネ島の海岸
レオノーラの侍女イネス(ソプラノ)と娘たちが美しい風景を讃えて合唱している。目隠しをされたフェルナンドが乗った小舟が近づき、そこにレオノーラが彼と密会すべく現れ、付き人たちをさがらせる。二人は再会を喜び合い二重唱≪ああ、愛しい方≫を歌う。しかし、レオノーラは、自分が国王アルフォンソの愛人である身分を明かすことができず「愛してはいるが2人は別れなくてはならない」と言って、フェルナンドの将来を考えて軍隊の隊長に任命する手紙を渡す。そこに侍女イネスが、国王アルフォンソの来訪を告げ、レオノーラが慌ただしく去り、フェルナンドは武勲を立てて彼女の愛を得る決心をする。

第2幕 アルカザール宮殿の庭園
フェルナンドの率いる部隊がイスラム教徒との戦いで勝利し、国王アルフォンソは彼の功績を讃え、華やかな戦勝の祝宴が開かれようとしている。国王は、教会が強い権力を持つことを危惧し、自分と愛妾レオノーラの関係を批判する教皇の態度に不満を表し、何が起きようと自分の気持ちは変わらないと、彼女への熱い思いをアリア≪レオノーラよ、おいで≫で歌う。そこへレオノーラが現れ、王の愛人として隠れた存在であることを悲しみ訴える。国王アルフォンソはその悲しみを慰めようとするが、レオノーラは自分を宮廷から解放してほしいと強く訴えかける。そこへ式武官ドン・ガスパロ(テノール)が現れ、レオノーラが国王アルフォンソを裏切っていると言い、証拠として他の男からのレオノーラに宛てた手紙を渡す。王はレオノーラに「相手の男はだれだ」と問い詰めるが、彼女は他に愛する人がいることは認めるが、その男の名前を明かそうとはしない。そこに王妃の父バルタザールが現れ「娘をないがしろにして、卑しい愛妾に夢中になるとは」と激しく国王アルフォンソをなじり、アリア≪神の怒りを恐れよ≫を歌う。バルタザールがレオノーラを指差して呪うと王は怒り、宮廷は大混乱となる。

第3幕 宮廷の大広間
フェルナンドが凱旋将軍として宮廷に招かれ、国王アルフォンソは彼の功績を讃えて彼に褒美は何が欲しいかと尋ねる。フェルナンドは、自分が恋焦がれている貴族の女性レオノーラとの結婚を認めてほしいと答える。そこにレオノーラが現れ、国王は驚きながらも、既にレオノーラの心が自分から離れていることを悟り、本心を隠したまま1時間後に祭壇の前で結婚するようにと命じて立ち去る。一人残ったレオノーラはフェルナンドとの結婚を一瞬喜ぶが、自分が呪わしい愛妾という立場であることの苦悩を、アリア≪愛しいフェルナンド≫で歌い、イネスに自分が王の愛人である事実をフェルナンドに伝えてくれるように頼む。宮廷の人々が集まる中、国王アルフォンソは、フェルナンドに侯爵の地位を与え、自分の首から勲章を取りフェルナンドの首にかけ、フェルナンドとレオノーラは礼拝堂で結婚式を挙げる。宮廷の人々は、国王の愛人と結婚してまで爵位を得ようとした男として彼に皮肉たっぷりに祝辞を述べる。そこへ、フェルナンドとレオノーラの結婚を知ったバルタザールが現れて、レオノーラが国王の愛人であることをフェルナンドに教える。その事実を知らなかったのはフェルナンドだけで、彼は思わぬ事実に屈辱に震え、爵位などいらないと言って剣を折り、国王の足下に授かった勲章を叩きつけてバルタザールと共に去る。レオノーラは、イネスに託した自分の伝言がフェルナンドに届いていなかったことを悟り絶望する。

第4幕 修道院の中庭
オルガンの響きと共に幕が上がり、修道院長バルタザールと修道士たちが夕べの祈りを捧げ合唱する。皆が僧院に入り残ったバルタザールは、王妃であった娘が今はこの僧院に葬られていることを悲しみながら、フェルナンドに「国王アルフォンソへの復讐はお前に任せる」と言って先に礼拝堂へと向かう。一人残されたフェルナンドは、レオノーラを想いアリア≪優しい魂よ≫を静かに歌い礼拝堂に入って行く。見習い修道士の姿をしたやつれたレオノーラが現れ、中から聞こえる王妃の死を悲しむ祈りを聞く。祈りの中にフェルナンドの声を聞いたレオノーラは、怖れて逃げ去ろうとするが、力尽きて石の十字架の前に倒れ込む。礼拝堂から出てきたフェルナンドが、倒れた見習い修道士を見つけて助けようとするが、それがレオノーラであると知り激しく動揺し、彼女にすぐに立ち去るように言う。レオノーラは、最後の力を振り絞って、フェルナンドに本当のことを伝えようとしていたと告げ、騙すつもりはなかったと死ぬ前に許しを願う。彼女の切々たる訴えに心打たれたフェルナンドはついに彼女を許し、一緒に逃げようと口走る。しかしレオノーラにはもうそんな力は残っておらず、彼に許された安らぎを得て喜び、フェルナンドの腕に抱かれて事切れ、幕となる。