モネ劇場でのオペラ The Turn of the Screw ねじの回転
作曲:Benjamin Britten(ブリテン1913~1977)
内容:英米文学の代表的な小説家Henry James(1843~1916)の同名の心理小説を元に、Myfanwy Piperが台本を書いた、7人の登場人物と13人のオーケストラ奏者で演奏されるオペラ。1954年作曲者自身の指揮のもとヴェネツィアで初演された、原作の怖さが歌劇によって深められた作品。 プロローグ付全2幕(各幕8場) 英語
あらすじ
プロローグ:プロローグ(テノール)が 若く美しい女家庭教師が、魅力的な青年紳士に依頼されて、彼が後見人となっている両親のいない親戚の2人の子どもの家庭教師となった経緯を説明する。以前の家庭教師が死んだので、その後任として彼女が勤める事になったのだが、彼は非常に多忙なので子どもたちの教育は彼女が全責任を持ち、絶対に彼を煩わせないという条件であった。
第1幕
第1景 家庭教師(ソプラノ)は、子どもたちそして、長年居る家政婦と果たしてうまくやっていけるかと懸念しながら旅を続ける。
第2景 邸に着いた彼女は 兄マイルズ(ボーイソプラノ)と妹フローラ(ソプラノ)、家政婦グロース夫人(ソプラノ)に歓迎される。
第3景 グロース夫人が、マイルズが退学処分になった事を知らせる手紙を家庭教師に渡す。「この手紙の事を何てぼっちゃまにおっしゃいますか?」と問うグロース夫人に、彼女は「何も言わない」と答えると、夫人はこれで完全に先生の味方になりますと、彼女を抱きしめる。
第4景 家庭教師は、初めの不安もなくなり、2人の子どもたちへの愛情も深まってきたが、依頼主の紳士に1度も会えない事は残念だと思いながら庭を散歩している。その時、塔に人影を見て一瞬あの紳士かと思うが、見知らぬ男なので不安にかられる。
第5景 家庭教師は、窓に再び見知らぬ男を見てグロース夫人に話す。グロース夫人は「それは以前の召使クゥイントの亡霊(テノール)で、彼は前の家庭教師ジェッスル嬢と深い仲になり、勝手を振る舞い、マイルズにまで慣れなれしくなった。一方 ジェッスル嬢はフローラを溺愛するようになったが、去って行って亡くなった。クゥイントは、その後、凍った夜道で転んで死亡した」と物語る。家庭教師は、子どもたちを亡霊から守る決意をして、夫人は先生の味方になると誓う。
第6景 ラテン語の勉強中、マイルズがラテン語で悪を意味する”マロ”という言葉を入れた歌を歌い、家庭教師は彼の中にあるクゥイントの影響を観察する。
第7景 家庭教師が、フローラに世界の海の名前を教えながら湖のほとりにいると、向こう岸にジェッスル嬢の亡霊(ソプラノ)が現れる。彼女はフローラの手を引くが、マイルズの叫び声がして、フローラは兄の方に駆けてゆく。フローラも亡霊を見たはずなのに、知らない振りをしている。家庭教師は、子どもたちが2人共駄目になってしまったのだと嘆く。
第8景 家庭教師が、亡霊たちと交感している子どもたちを見つける。
第2幕
第1景 クゥイントとジェッスル嬢の亡霊が、子どもたちの道徳的堕落をもくろんで歌い消える。家庭教師はどうしたら良いかと悩む。
第2景 礼拝の前、家庭教師は、子どもたちが無邪気を装って恐ろしい事を話しているのを見抜き、グロース夫人は彼らの後見人に手紙を書くように言うが、彼女はそれは約束に反すると悩む。マイルズが、先生は僕たちの事を良く考えてくださるが、後見人の伯父様も先生の考えと同じなの? と彼女を追及するので、彼女は、自分が子どもたちの秘密を知っている事を知った上での挑戦と考え、もはや職を辞めなくてはと思う。
第3景 家庭教師が部屋に戻ると、彼女の机にジェッスル嬢の亡霊が座っていて「私の悲劇が始まったここで、今度は復讐が始まる」と言う。家庭教師は、私はここを去るわけには行かない、と禁じられている後見人への手紙を一気に書き上げる。
第4景 マイルズが、家庭教師に「先生は僕たちの奇妙な生活を知っていますね」と言い、彼女は後見人の伯父様に手紙を書いたと言う。彼女はマイルズに過去を告白させようとするが、クゥイントの亡霊に邪魔されてしまい、亡霊は手紙を盗れと歌う。
第5景 マイルズはクゥイントの亡霊の命令に従って、手紙を盗む。
第6景 マイルズがピアノを弾き、家庭教師とグロース夫人を感心させる。フローラがそっと逃げ出し、それに気づいた家庭教師が眠っていた夫人を起こして探しに行く。
第7景 フローラは、ジェッスル嬢の亡霊と湖の岸にいる。家庭教師には亡霊が見えるが、グロース夫人には見えない。フローラは「私先生嫌い」と叫び 夫人と家に戻り、家庭教師は絶望する。
第8景 グロース夫人が、昨夜フローラが夢で言っていた事を聞いて、家庭教師が言っていた事が真実である事がわかったので、フローラを後見人の所へ連れて行くと言う。その頃には、私の書いた手紙も着いているだろうと言う彼女に、手紙はきっとマイルズが盗んだに違いないと答え、夫人はフローラと共に旅立つ。家庭教師がマイルズに手紙の追及をすると、クゥイントの亡霊が現れ「何も言うな」と言うが、マイルズはついに「クゥイント、お前は悪魔だ」と叫び、彼女の腕の中に崩れ落ちる。亡霊は俺の負けだと消えるが、彼女はマイルズの息が止まっている事に気づき、慄然として幕となる。