あらすじ　

第1幕
第1場
美しいロジーナに思いを寄せるアルマヴィーア伯爵（テノール）が、彼女の家の窓辺に来ると、陽気に歌いながら床屋のフィガロ（バリトン）がやって来て、昔伯爵と別れて以来の出来事を物語る。最近度々現れる若者(伯爵)に好意を持ったロジーナ（ソプラノ）が窓辺に現れ、彼女の後見人のバルトロ（バス）が彼女が手にしている紙を見咎めると､｢歌の楽譜なの｣と言って落とし、伯爵はそれを拾って隠れる。慌てて拾いに来たバルトロは紙が見つからず彼女の様子に不審を抱き、彼女を家に入れて窓を閉める。紙には「貴方の身分と名前を教えて下さい」と書かれあるので、伯爵はセレナードに託して「私はリンドーロという貧しい学生です」と歌う。ロジーナがそれに答えようとするが、窓が閉められるので、伯爵はフィガロに彼女との仲を取り持つように依頼する。

第2場
ロジーナが手紙を書いていると、フィガロが現れ「リンドーロは貴方に夢中です」と言うので、喜んだ彼女は彼宛の手紙をフィガロに託す。帰ってきたバルトロが召使達を呼ぶが、彼らはフィガロにあくび薬やくしゃみ薬を飲まされていて役に立たない。そこへロジーナの音楽教師バジーリオ（バス）が現れ「アルマヴィーア伯爵がロジーナを思っているので悪い噂を立ててここから追い出しましょう」とバルトロに忠告する。バルトロは「1日も早くロジーナと結婚式を挙げる」と言い、バジーリオにお金を渡してその手配を頼む。バルトロは　現れたロジーナの手がインクで汚れている事から手紙を書いた事を見抜くが、彼女は上手く言い逃れる。フィガロの入れ知恵で酔った士官に変装した伯爵が来て「今夜この家は兵隊の宿舎の指定された」と言うが、驚いたバルトロが宿舎免除証を出して来て読み上げる。その間に伯爵はロジーナに手紙を渡し退散する。バルトロがロジーナにその手紙を見せるようにしつこく要求するので、彼女は他の手紙と入れ替えて気を失う振りをする。手紙を読んだバルトロは、意識を取り戻した彼女に謝る。1人になったロジーナは伯爵からの手紙を読みアリア｢天よご存知ですか？｣を歌う。

第2幕
第1場
病気のバジーリオの代稽古にと音楽学生の変装をした伯爵が現れ、疑うバルトロにロジーナの手紙を渡して彼の信用を得ようとする。レッスンが始まりロジーナは歌劇「無駄な用心」のアリア｢もう春が笑う｣を歌う。フィガロがバルトロの顔を剃りに現れ、その準備に紛れて、家の鍵束の中から窓の鍵を抜き取る。突然バジーリオが現れ、伯爵達は狼狽するが、伯爵は彼に財布を握らせうまく追い返す。フィガロがバルトロの髭を剃り始め、その間に伯爵はロジーナと今夜2人で逃げる相談をする。仲の良い2人を見て、ついにバルトロは関係を見破り大騒ぎとなる。

―嵐の音楽―

第2場　
バルトロは「直ぐに結婚する」とバジーリオに公証人を呼びに行かせ、ロジーナには伯爵から入手した彼女の手紙を種に恋人の不実を信じさせ、自分との結婚を承知させてしまう。バルトロがいなくなった隙に　窓から伯爵とフィガロが入ってくる。不実者となじるロジーナに、実は自分は学生リンドーロではなく伯爵であると明かす。丁度バジーリオが公証人を連れて現れたので、お金に物を言わせて2人は結婚式を挙げる。役人を連れて来たバルトロは事の次第を知って驚くが「無用の用心」だったと諦めて2人の結婚を許し、万事めでたしで幕となる。