第1幕 ナポリのカフェ。若い士官のグリエルモ(バリトン)とフェルランド(テノール)が、それぞれの恋人の美しさと貞操の固さを自慢している。それを聞いた老哲学者のドン・アルフォンソ(バス)は「貞節な女なんているわけが無い」と主張し、決闘だと迫る2人と恋人達の貞節の賭けをする事になる。姉のフィオルディリージ(ソプラノ)と妹ドラベルラ(メゾソプラノ)がそれぞれの恋人のグリエルモとフェルランドの肖像画を見てうっとりしている所へ、ドン・アルフォンソが現れ、悲しげな表情で「2人の恋人達が戦場に行く事になった」と伝え、外にいた2人を部屋に入れる。グリエルモとフィオルディリージ、フェルランドとドラベルラの2組の恋人達は辛い別れを惜しみ、姉妹は気を失いそうになり、それを見た士官達はもう賭けに勝ったつもりになるが、ドン・アルフォンソに「まあ待て、終わりが肝心」と囁かれる。行進曲と共に兵士達が現れ、「毎日手紙を下さい」と涙にくれる姉妹を残し、2人の士官は船に乗って去って行く。姉妹はドン・アルフォンソと恋人達の幸運を祈って三重唱を歌い、アルフォンソは「あんな風に大袈裟に嘆く女の方が気が変わり易いのだ、賭けはもらった」とほくそえむ。姉妹の女中デスピーナ(ソプラノ)が、お嬢様方のココアを味見している所へ、姉妹が悲嘆にくれて現れる。恋人達が戦場へ行ってしまったと説明する姉妹に、デスピーナは「未だに愛で死んだ女なんていませんよ、お2人もおおいに浮気をなさい」と笑い出す。2人の士官に変装させ組み合わせを入れ替えて姉妹を誘惑する計画を立てたアルフォンソは、まずデスピーナを金貨で買収して協力させる。アルフォンソが、変装した2人を旧友だと言って姉妹に紹介し、2人はそれぞれ相手を変えて切々と愛の告白をし、突然な事に姉妹は怒り出し、フィオルディリージは「私達には誓い合った恋人がいるのです」と貞節の堅さを歌って退場。2人の士官は賭けに勝ったとアルフォンソに前金を求めるが、アルフォンソは「まだ早い。明日の朝までは私の言う事を聞きなさい」と念を押し、次の作戦を考えたデスピーナと打ち合わせをする。姉妹が恋人を想って嘆いている所へ、先程の2人の変装した若者が現れ、報われぬ恋を嘆いて毒を飲んで倒れる。医者に変装したデスピーナが現れ、ラテン語で皆を煙に巻き「磁石医療で2人の息を取り戻す」と磁石を当て、さらに姉妹のキスも必要だと言い、怒り出す姉妹。心中で笑う4人の交錯する中で1幕が終わる。
第2幕 デスピーナが姉妹に「貞淑と浮気を使い分けて人生を楽しまなくては」と恋愛観を説いて退場。最初姉妹は呆れるが、ドラベルラがまんざら悪くないと言い始め、恋人フェルランドが金髪なので浮気は黒髪をと言い、フィオルディリージもその気になり出す。アルフォンソが姉妹を庭に
誘い、デスピーナと共に、例の2人の若者と姉妹の仲を取り持ち励ます。フェルランドはフィオルディリージを散歩に誘い、グリエルモがドラベルラを口説きだすと、彼女は抵抗し切れず、彼からペンダントを受け取り、フェルランドの肖像の入ったロケットを渡してしまう。逃げようとするフィオルディリージを追って来たフェルランドが、切々とアリアを歌い絶望した振りをして去ると、彼女は身の内に燃える浮気心に気づき「恋人よ許して下さい」と歌う。フェルランドとグリエルモが登場し、フェルランドがフィオルディリージの貞節の堅さを賞讃すると、グリエルモは喜ぶが、彼が自分が誘惑したドラベルラはついに心を許してフェルランドの肖像までくれた事を報告すると、フェルランドは怒り苦しむ。「不実な女と知っても忘れられない」と歌うフェルランドに、アルフォンソは「それが本当の愛だ」と言い、賭け金を求めるグリエルモに「まだ一芝居あるから判らんよ」と答える。デスピーナがドラベルラの転身ぶりを誉めている所へ、フィオルディリージが自分もあの金髪に参ってしまった事を白状する。妹は恋は成り行きに任せなさいと勧めるが、姉は罪を犯さない為に、恋人の軍服を着て戦場に彼を訪ねる決意をする。軍服姿のフィオルディリージの前にフェルランドが現れ、私を捨てるなら殺して下さいと口説き、ついに彼女も彼と抱擁しながら去る。この様子を見ていたグリエルモは怒り、アルフォンソは怒っている若者2人に「女は皆こうしたもの」と教え、今夜彼女達と結婚しなさいと言う。大広間では結婚式が準備されている。2組の花嫁花婿と公証人に化けたデスピーナが登場し、全員が結婚誓約書に署名をした所に太鼓の音が聞こえ、アルフォンソが軍隊が帰って来たと伝える。一同大慌てで、姉妹は2人の花婿を別室に隠す。変装を取って元の軍服姿に戻ったフェランドとグリエルモは、姉妹の変な様子を見咎め問い質し、結婚誓約書を見つけ怒り出す。姉妹は罪を認めひざまずくが、2人の士官が素顔に先程の変装を着けて現れ種明かしをすると、事の全貌が解って怒り出す。アルフォンソが「文盲の愛よりこうなってから再び始まる愛の方が本物の愛になるのだ」と取り成し、この恋人教育も円満に収まって幕となる。
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