第1幕　
村人たちが広場で、陽気に歌い飲んでいる。ジュアン(テノール)、ロドリーゲス(テノール)、ペードロ、ガルシアスの4人が、遊び女ドゥルシネ(ソプラノ)の家の前で「美しい人よ姿を見せて」と歌うと、彼女がバルコニーに現れ「女が二十歳になると」を歌う。4人の男たちは「彼女は確かに美人だが、ドン･キショットはあの娼婦を本気で愛しているらしい」と噂(うわさ)する。そこへ馬に乗ったドン･キショット(バス)が、ロバに乗ったサンチョ･パンサ(バリトン)を従えて威風堂々とやってきて、ドン･キショットは、貧しい者たちに施しをするように命じ、サンチョは「これで今夜の夕食代がなくなってしまう」と嘆(なげ)く。ドン･キショットはドゥルシネの窓の下でセレナーデを歌い、ジュアンたちが冷やかすので怒り出す。ドゥルシネが出てきて、いがみ合っている2人の間に入って、ジュアンにマントを取りに行かせる。切々と愛を訴えるドン･キショットに、彼女は「山賊が奪っていった首飾りを取り返してきて」と言い、ドン･キショットは「愛の証に必ず奪い返してきましょう」と誓い、4人の男たちの嘲笑も気にせずに出発していく。

第2幕　
ドン･キショットはドゥルシネへの愛の歌を作詞し、サンチョは「女は性悪で男は犠牲者だ」と歌いながら、山賊の住む山へと向かっている。遠くに風車が回っているのを見たドン･キショットは「あれぞ巨人ども」と叫び、槍を構えて突進し、風車の羽に打たれて空中に舞い上がってしまう。

第3幕　
山に入ったドン･キショットは、山賊の通る道で待ち伏せする事にして、サンチョも渋々と従い横になる。ドン･キショットは「騎士たるは、常に奇襲に備えていなければならない」と槍にもたれて立ったまま休む。大勢の山賊たちの姿が見え、サンチョは逃げて姿を消し、ドン･キショットは槍を構えて猛進するが、あっという間に取り押さえられてしまう。山賊は彼を木につるすことにするが、ドン･キショットが堂々と「主よ我が魂を受けたまえ」と祈るのを見て山賊の首領が感動し、彼の身分や目的を尋ねる。ドン･キショットは「弱きを助ける正義の味方で、愛する婦人の首飾りを返してもらいに来た」と、堂々たる態度で名調子の演説をすると、単純な山賊たちは感動して、首飾りを返して彼を自由にしてやる。ドン･キショットはサンチョを呼んで、意気揚々と引き上げていく。

第4幕　
ドゥルシネの家の中庭では、例の4人の男に取り巻かれた彼女が物憂げに「斬新奇抜に愛されたい」と歌っている。皆が夜食を取りに部屋に入ったところに、ドン･キショットがサンチョを従えて入ってきて、現れたドゥルシネに首飾りを渡して手柄を話す。感激した彼女は彼に接吻し、入ってきた人々と彼を世界一の英雄だと讃（たた）えるので、ドン･キショットは彼女に結婚を申し込む。彼女は、結婚と聞いて笑い出し、人びとも笑うので、彼は絶望してしまい、それを見たドゥルシネは人びとを遠ざけて「私は汚れた恥ずべき女」と告白する。それでもひざまずいて彼女を讃えるドン･キショットに、ドゥルシネは感動するが、人びとが来るので去って行く。4人の男がドン･キショットを嘲笑するので、サンチョがむきになって彼らを罵倒する。

第5幕　
星の輝く夜、病にかかったドン･キショットは、サンチョに「おまえには、約束どおり、美しい島を与えよう」と言いながら倒れ、遠くから聞こえるドゥルシネの歌声を聴き、彼女への愛を呟きながら命つき、幕となる。