第1幕　
パリ、カルティエラタンのアパートの屋根裏部屋。クリスマスイヴの夕刻､詩人ロドルフォ(テノール) と画家マルチェルロ (バリトン) が創作に熱を入れている。あまりに寒いのに暖炉にくべる薪はないので、マルチェルロは椅子を壊して暖炉で燃やそうとするが、ロドルフォが自分の書きかけの原稿を世界の損失だと言いながら燃やす。哲学者コルリーネ (バス) がクリスマスイヴで質屋が休みだとぼやきながら加わり、3人で冗談を言いながら暖をとる。突然扉が開き、少年が薪、酒、食料を運び込み、音楽家ショナール (バリトン) が入ってきて金貨をまき散らす。ショナールは｢オウムが死ぬまで演奏してくれとイギリス人に雇われ、3日目にオウムを毒殺して稼いだ金だ｣と説明し、「こよいは皆で街へ出よう」と誘う。そこへ家主のブノア (バス) がたまっている部屋代の請求に来るが、皆で金貨を見せて安心させ、うまい具合に追い返す。街へ出かける皆に書きかけの原稿を仕上げてから行くと1人残ったロドルフォが机に向っていると、階下に住むお針子ミミ (ソプラノ) が｢火種をください｣と扉をたたく。ロドルフォは急に咳き込む彼女を介抱し、ろうそくに火をつけて送り出すが、鍵を忘れた彼女が戻ってきたとき、ろうそくの火が消えてしまう。明かりを持って出たロドルフォまで風に火を消され、2人は手探りで鍵を探す。ロドルフォはすぐに鍵を見つけるが、自分のポケットに隠し、彼女の手に触れながら、有名な“冷たい手を”を歌い、「自分は貧しい詩人だが、心は豊かでいつも美しい夢を描いて生きている」と言って、「今度は あなたのことを」とミミに促す。ミミは有名な“私の名はミミ”を歌って「人は誰もがミミと呼ぶが本名はルチアで、花が好きな貧しいお針子」と語る。そこへ先に出かけた仲間が迎えに戻り声をかける。ロドルフォは2人分の席を頼み、月明かりに照らされたミミを称 (たた) え、2人は 愛情に満ちた2重唱を歌いながら出る。

第2幕
カフェの前の広場。マルチェロたち3人はテーブルを外に出し席を作り、ミミに帽子を買ってやったロドルフォは、楽しい晩さんに加わる。玩具 (がんぐ) 売りのパルピニョール (テノール) が車を引いてきたので子どもたちは大喜び。車が通り過ぎたあと、めかし込んだムゼッタ (ソプラノ) が太った金持ちの政府高官アルチンドロ (バス) と一緒に気取ってやって来る。マルチェルロの恋人だったムゼッタは、マルチェロとけんか別れして、今はアルチンドロをパトロンにしている。着飾って得意のムゼッタが“私が街を歩くと”を歌って美しさを誇るが、マルチェルロは気が付かないふりをしている。すると、突然ムゼッタは足が痛いと靴を脱ぎ捨て、アルチンドロに靴を買いにいかせる。その隙にムゼッタはマルチェルロに抱きつき仲直りする。そこへ鼓笛隊と共に兵士たちが来て、町人がそれについていくので、ロドルフォたちもムゼッタを担いで群集に紛れて飲み代を払わずに出ていこうとする。あわてた給仕が勘定書を持ってくるが、それは老紳士が支払うと言って逃げる。靴屋から戻ったアルチンドロはその高い勘定書を見て目を回す。

第3幕
雪模様の2月の朝、居酒屋からムゼッタの歌う陽気なワルツが聞こえる。そこへミミが咳き込みながらマルチェルロを訪ねてきて、「ロドルフォはやきもち焼きだ」とマルチェロにこぼすが、先にきていたロドルフォが出てくるので隠れる。ロドルフォはマルチェルロに、始めは「ミミが浮気女なので別れる」と言うが、マルチェルロが疑うと、「ミミは重病で、自分には養生させるだけの力がない。愛だけでは病気は治せない」と本心を訴える。隠れて立ち聞きしていたミミは自分が不治の病であることを知り、また咳き込み、驚いたロドルフォが駆け寄る。マルチェルロは、ムゼッタと男たちがふざけ合っている声がするので中に戻り、ミミは「あなたの愛に呼ばれて出てきたが、私は元のねぐらに戻る。でもあの帽子だけは2人の思い出のために大切にとっておいて」と告別の歌を歌う。そして“さようなら甘い目覚めよ”で、楽しかった愛の日々を回想し、冬の別れは辛いが春になれば太陽が仲間になり、花も開く、と別れを惜しむ。マルチェルロとムゼッタが、けんかしながら出てきて4重唱になり、ムゼッタは「出ていくわ！」と去っていく。ロドルフォとミミは、別れるのは花が咲くころまで待とうと寄り添って歩いていく。

第4幕
数ヵ月後のアパートの屋根裏部屋。ロドルフォとマルチェルロは互いに別れた彼女のことを思い出し、仕事がはかどらない。ロドルフォは“もう帰らないミミ”と歌い、それぞれに思い出の帽子やリボンを取り出して思いにふける。ショナールとコルリーネがパンと鰊 (にしん) を持ってきて、4人は粗末な食事だが豪華な貴族の宴会よろしくふざける。突然ムゼッタがミミを連れて現れ、ロドルフォは衰弱しているミミを抱きベッドに運び介抱する。ムゼッタは「貴族のパトロンの許から逃げてきたミミが、ロドルフォの側で死にたいというので連れてきた」と3人に説明する。ミミは懐かしい部屋を眺め、「気分が良くなった、手が冷えるからマフが欲しい」と言い、ロドルフォは自分の手で暖める。ミミが1人ずつ名を呼び、マルチェルロには「ムゼッタは本当にいい人」と言う。お金がない一同は、ムゼッタが耳飾りを外し、「これで医者と薬代を」とマルチェルロに託し、自分のマフを取りにいき、コルリーネも自分の古い外套を売るためにショナールと出ていく。ロドルフォと2人になったミミは「話がたくさんあるけれど、言いたいことはあなたを愛していることだけ」と言い、“私の名はミミ”と歌いだし、いつかの帽子を取り出したロドルフォに出会いの夜の思い出を語るが、途中でけいれんを起こす。ロドルフォの必死の介抱で小康を得たとき、ムゼッタたちが戻ってきて、やがてミミは眠くなったと目を閉じる。ムゼッタは薬を暖め聖母に祈るが、ミミは息を引き取る。ロドルフォは夕日を遮るために窓に外套 (がいとう) を掛けていて気が付かないが、振り返ったとき、皆の様子から慌ててベッドに駆け寄り、そのなきがらの上に泣き崩れ、幕となる。