| 諸国を旅する僧が須磨の浦を訪れた。浜辺にある松に気付き、その謂れ (いわれ) を漁師に尋ねると、塩を採って暮らす海女 (あま) の姉妹、松風と村雨の墓標であると教えられる。僧はお経をあげて2人の霊を弔った後、一軒の塩屋に宿を請うと、そこへ潮くみを終えた2人の若い女が帰って 来る。僧が在原行平 (ありわらのゆきひら) の和歌を詠み、松風、村雨の墓標の松を弔ったと語った。すると女たちは泣き出し、自分たちは行平に寵愛を受けた松風、村雨の亡霊だと明かし、行平の死で終 わった恋の思い出を語る。松風は行平の形見の狩衣 (かりぎぬ) と烏帽子 (えぼし) を身に着けて踊り、松の木を行平だと思いこんですがりつく。村雨はなだめるが、松風は半狂乱となり、やがて2人は供養を僧に頼んで消えてゆき、松を渡る風 ばかりが残って幕となる。
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