第1幕
古代コリント国、武勲(ぶくん)を挙げた英雄ジャソンと、国王の娘ディルセの結婚式で王宮は華やいでいる。しかし花嫁ディルセ(ソプラノ)は、夫となるジャソンが、金羊毛を取りに行った時にめとった、コルキスの王女メデという前妻の存在が気になって沈んでいる。そこへ国王クレオン(バス)とジャソン(テノール)が登場。父は優しく娘をなぐさめ、ジャソンは戦勝で得た宝物を彼女に与えて「もう前の妻には会わない」と約束する。宮殿の人びとが愛の神に祈りを捧げている時、1人の見知らぬ女が入って来て、その女がベールを取るとそれはジャソンの前妻のメデ（ソプラノ）であった。人びとが驚く中、メデはジャソンに「私を裏切った」と責め、クレオン王は彼女を魔女だと罵り(ののしり)、娘を庇いながら宮殿の中へ入って行く。ジャソンと2人になったメデは「昔の愛を思い出し、2人の子どものことも考えて」と泣いて訴えるが、彼女を拒むジャソンに対し、態度を一変させて激しく責める。

第2幕　
興奮したメデの所へ、彼女の腹心のネリス(メゾソプラノ)が国王が来たことを告げる。クレオン王が国外追放を命じるので、メデは「せめて隠れ家を」と懇願するが、国王は受けいれない。「明日、国を出るから1日だけ」と請うメデに、国王は遂に1日の猶予を与えてしまう。メデは「何としてもジャソンに復讐する」と叫ぶ。そこへ現れたジャソンに怒りを隠して「去る前に一目2人の子どもに会わせて」と懇願する。彼女の子を思う気持ちに打たれたジャソンは「1度だけ会わせよう」と約束して宮殿に戻って行く。メデは王冠と打ち掛けをネリスに渡し、それらを婚礼の贈り物として王女ディルセに届けるように命じる。神殿では婚礼が行われるのが見え、メデは「復讐は近い」と叫ぶ。

第3幕　
ネリスがメデの2人の子どもに王冠と打ち掛けを渡し、子どもたちはそれを持って宮殿に入って行く。それを見たメデは「地獄の神々よ来たれ」と叫び、復讐の成就を見守っている。ネリスが子どもたちを連れて現れ「ディルセは王冠と打ち掛けを喜んで受け取り身に着けた」と報告する。メデは駆け寄る我が子に「この眼はジャソンと同じだ」と叫んで短剣で刺そうとするが、どうしても殺すことができず、2人を抱きしめる。宮殿から恐怖の叫び声が聞こえる。メデの贈った王冠と打ち掛けを身に着けたディルセが、体中に毒が回って焼けただれ、駆け寄ったクレオン王にも炎が移って、2人とも死んでしまったのだ。復讐に酔ったメデは「まだ殺さなくてはならない者がいる」と叫び、神殿に入って2人の子どもを刺殺する。ジャソンは兵士たちとメデを追うが、彼女は神殿に火を放ち、子どもの亡骸と共に天空に去って行き、人々が騒然とするうちに幕となる。