日本の名店、老舗に時々掲げられている「宮内庁御用達」という看板。この制度は明治２４年に設けられましたが、戦後間もなく廃止され、実は、現在はこの肩書きは正式には存在しません。ただ、宮内庁も、昔からの出入り業者には黙認しているようです。ベルギーにも「王室御用達」Fournisseur de la Cour(仏)/Hofleverancier (蘭)があることは周知のこと、こちらは現役の制度です。

チョコレートから薬局まで御用達のお店はいろいろ　
　ベルギー王室御用達というとまず思い浮かぶのが、ガレーGALLER、メリーMARY、ウィタメールWITTAMERといったチョコレート、ケーキのお店。そしてお馴染みの皮革製品のデルヴォーDELVAUX、ミネラルウォーターのスパSPA。食べ物やファッションの店ばかりではありません。クリーニング店、めがね店、文房具店、書店、薬局、美容院などもリストに名を連ねています。例えば、ブリュッセル市内にはこんなお店があります。

BODART OPTICIENS（めがね） Rue Royale 33　1000 Bruxelles
MAISONS HAYOIT（ホームリネン） Chaussee de Louvain 56　1210 Bruxelles
Teinturerie DE GEEST（クリーニング） Rue de l’Hopital 39-41　1000 Bruxelles
PAPETERIE ANGLAISE（文房具） Avenue Louise 92A　1050 Bruxelles
Maison ROGER（美容院） Avenue Louise 88　1050 Bruxelles
LIBRIS（本） Avenue de la Toison d’Or 40-42　1060 Bruxelles
PHARMACIE DE LA COUR（薬局） Rue de Namur 76　1000 Bruxelles

毎年改訂されるリスト
　現在、ベルギー王室御用達リストに登録されているのは98業者（2003年11月15日改訂）。一度、資格を得たら半永久的に有効かというと、そういうわけではありません。資格は5年間有効で、期限が切れると再審査されます。新しく資格を得るためには、王室の経理係宛に文書で申請します。毎年11月１日〜15日に、新規申請者と既存業者の5年毎の審査が行われ、11月15日付けで新しいリストが作成されます。
　有資格者になるための条件は、まずベルギーの企業であること、商品あるいはサービスの品質の高さが求められるのは言うまでもなく、御用達にふさわしい名声と信望がなければなりません。資格を得ると、王室の紋章を広告やパンフレット、包装紙、建物などにつけることができます。ただし、ひとつの対象につきひとつのみ、などと条件が付いています。1988年には非営利団体・ベルギー王室御用達ASBL des Fournisseurs brevets de la Cour de Belgiqueが設立され、有資格者をとりまとめ、王室と業者の架け橋として機能し、その発展に務めています。