今年はベルギー建国１７５周年。オランダから独立後、最初の王位に就いたのが、レオポルド１世でした。さて、この王様の銅像はどこでしょう？ とんでもないところにありました。地上２５メートルの高さ。

市内の「Place du Congres （議会広場）」　=Rue Royale沿い=にある記念塔のてっぺんです。この塔は、憲法を公布した国民議会を記念して建てられたもので、足元には「無名戦士」が奉られています。像の顔をはっきり見たい、という方は、ラーケン王宮向かいの公園にも彼のモニュメントがありますのでそこで見ることができます。

　生まれは中部ドイツ。地方領主、ザクセン・コーブルグ・ゴーダ公フランツの７番目の末子でした。父は彼に科学の知識を、家庭教師はラテン語、ギリシャ語、数学を、退役軍人は、軍事面での知識を授けました。　１８０６年、ナポレオン率いるフランス軍が故郷のコーブルグ領を占領したため、レオポルドはパリへ移ります。ナポレオンは彼に、「副官」の地位を提案しますが、これを拒否。兄に代わって故郷を治めることを決めます。後に、ナポレオンは、「彼は私がパリで出会った中で最も魅力的な若者だった」と評しています。

　しかし、レオポルドは次第にナポレオンへの不信を募らせ、ロシア軍を率い、ナポレオン軍と戦います。遂に１８１４年には再びパリに入城します。このとき、彼は２４歳でした。
ほどなくロンドンへ向かったレオポルドは、シャーロット王女と出会います。彼女はイギリス国王ジョージ４世の娘で、当時１８歳。ひとめで恋に落ち、レオポルドはイギリスに帰化し、１８１６年に結婚します。式でのシャーロット王女のサテンのガウンは、見事なベルギーレースでおおわれていたそうです。しかし、翌年、シャーロット王女は死産し、その翌日に亡くなります。

　イギリスにいた彼のもとに、１８３０年、ギリシャから王位の指名がありましたが、辞退し、独立直後のベルギー国民議会からの王位の申し出を受け、翌３１年７月２１日に即位します。３２年には、フランス国王の王女、ルイーズ・マリー・ドルレアンと再婚。これで彼は、イギリス王室ではビクトリア女王の叔父、フランス王室ではルイ・フィリップ国王の婿という立場になり、両王家との姻戚関係を利用して、ベルギーの国際的地位を築いていきます。オランダとの和平協定を締結し、国家機構を整備、産業の振興を奨励しました。また、彼は３５年に、ヨーロッパ大陸で初の鉄道（ブリュッセルールーヴァン間）を誕生させます。　

　彼が亡くなった時、新聞は彼を「世界のネストル（老齢の知恵者、知将）」と呼び、その死を悼みました。