ブリュッセル市長、運河建設の功労者

プチ・サブロンの銅像を数回にわたって紹介しています

「ブリュッセル」の語源は「湿地帯にある砦」という意味のラテン語の「ブルッセラ（Broucsella）」。９７９年に、領主のロートリンゲン候、シャルル・ド・フランスが築きました。
ブルッセラが街として繁栄する以前から、この地はセンヌ川（La Senne）の二つの支流にはさまれた中洲のようになっており、小船を使っての輸送が盛んに行われていました。
ヨーロッパ北部、特にベルギーは運河などの内陸水路が最も発達した国といわれ、現在、全長は1500キロにも及んでいますがベルギーに数ある古い運河の中でも有名なのが、ブリュッセルからフランドル地方のエスコー（Escauｔ）にいたる全長28キロの「ウィルブルック運河」です。1550年、この建設の指揮にあたったのが、市長のジョン・ドゥ・ロコンギアンでした。
彼はそれまでに助役など、長きにわたってブリュッセル市の要職に就いてきました。
当時、運河の建設は税金問題などに絡んで難航するケースが多く、この運河の建設も、ブリュッセル市が通行税などの特権を得ることに憂慮した周辺諸都市や、建設に伴う税負担に反対する市民などからの抵抗がありました。しかし、彼はこうした勢力をおさえ、工事に着手します。
1561年、11年の歳月をかけて運河が完成。開通式は、同年10月10日から3日間続きましたが、式典は、すぐに街をあげての“市民祭り”に発展。お祭り騒ぎは8日間に達したといいます。 Text Box: 　ロコンギアンが指揮して完成したウィルブルック運河
この運河は当時としては最新鋭で、ふたつの水門を設けて水位を調節する階段式運河（閘門＝こうもん＝運河）を採用。このシステムのおかげで、船舶は、早く安全に航行することができるようになりました。
彼の像は、メルカトール（プチポワ10月号参照）の隣にあります。