プチポワ独占インタビュー
ベルギーで活躍する日本人

●　インテリアデザイナーとして活躍していらした先生が、薬膳料理の道に進まれたきっかけは何ですか。

20代の頃ひどい手荒れに悩まされ、紙もめくれないほどになり、色々な医者や漢方でも治らない状態でしたが、食事療法の本に出会って、嘘か本当か試してみると、どんどん良くなりました。今までの食事が手荒れを作っていたことに気づかされ、これを学ばずに人生がないというほど食事療法に熱中しましたが、自分は治って良いと思いましたけれど主人は「こんなまずいもの！」と言ってけんかになってしまって（笑）。それで料理学校に行く決心をして、習いたての料理を出したら、「こんなうまいものを食べたことがない！」と言ってくれて丸く収まったんです（笑）。それから7年間、あちこちの料理教室に通いましたが、特にリマ先生の下で学びました。料理だけでなく、食物がどうして身体に良いかという食養医学の講座が面白くて本当に色々学びましたね。そうこうしているうちにリマ先生にヨーロッパに行って教えるように言われたのです。

●　ベルギーに落ち着かれた理由は？
リマ先生からベルギーに来るご縁をいただきましたが、住んでみて、とても気に入りました。まず人が攻撃的でなく、静かで優しいマナーを持っています。古いものを大切にしてそれでいて文化意識は高く、伝統的なものと現代的なもののバランスがとれている国だと思います。

●　ヨーロッパ薬膳とは何ですか。
10年ぐらい私について来てくれたお弟子さんたちが私のアドヴァイスとかやり方で料理をして食べると、本当に病気が良くなると言って、私の料理を『恭子のメディシナルクッキング』と自然に言い出しました。ずっとこちらの人ばかりに教えていたからそういう風になったんですが、何年か前から日本人がこちらにたくさん来るようになって、日本人に教えたいと思うようになりました。『メディシナルクッキング』を日本語に訳すとどう言うんだろうと考えましたが、やっぱり『薬膳料理』なんですね。中国の薬膳とは違いますので私がヨーロッパにいますから、『ヨーロッパ薬膳』という名前が自然に出来たんです。私が日本で学んできた数千年にわたる東洋医学を基礎に、ヨーロッパの素材、ハーブなどを大いに活用した西洋の知恵を取り込んだ食養法です。

ヨーロッパ薬膳のウェブサイト　www.geocities.jp/e_yakuzen2007

●　これからの活動は？
ヨーロッパは歴史的に色々な文化が交差し洗練されてきましたが、この地ほど色々なことを吸収して風土に合うように作り上げている所はないと思います。私が26年間ここで教えてきたことも吸収されて、醤油、味噌、豆腐などの使い方も日本人よりも自由な発想で工夫して欧州化されています。私は今度、欧州の洗練されたエッセンスを日本に持ち帰りたいと思っています。

●　食を通して皆さんにお伝えしたいことは？
生きることのダイナミズムでしょうか。例えば病などで不自由にしている方に、食を正しくとることでいかに解放されていくかを伝えたいです。多くの人に、食の大切さを教え伝え、少なくとも病から解放され人生を楽しんでもらいたいと思っています。

●　お勧めの簡単レシピを教えてください。
お宅の近所を見渡すと野草があるはずです。野草はたくましい生命力を持った身近な薬です。例えば蓬(ヨモギ)があればご飯を炊く時に一節入れて炊いてください。美味しいですし、肝臓をよくしてくれます。痛いとげとげの刺草（イラクサ）があれば油で炒めて、醤油と絡めて佃煮にしても良いし、ポタージュにしてください。アレルギーやアトピーにいいですよ。（ベルギーでも野草を色々見つけて試してくださいね。）