駐在員主婦エッセイ
発見! ベルギー生活!
ス リ
海外危険情報をはじめ「人混みではスリに気をつけるように!」と、まるで常套(じょうとう)句になってしまっているこの台詞。他人事で私には関係ない、なんてたかをくくっていたら、しっかりローマで すられてしまいました。
悲願のバチカン訪問の際、まるで野球場にでも行くように混雑していた地下鉄の中でやられました。電車に乗る時、何度も主人に、「スリに気をつけろよ。」と言われて、ハンドバック内の財布の上に手袋を置き、内側にあるチェーンをしっかりかけ万全と思っていたのは私だけ。(思い返せば)混んだ車内で、ピアニカを吹きながら私の方に歩いてくる十二歳ぐらいの子どもについつい気を取られている間に、ギューギューと周りに押され、その隙にすられた模様。
電車から降り、サン・ピエトロ寺院広場に着いた時も、ものすごい人。でもなぜか皆さん晴れやかですごく嬉しそう。私も「やっと来れた、記念すべき人生の瞬間だわぁ!」とホッと一息ついた時、「大丈夫だったろうね?」
と主人の 言葉に一応バックの中を見ると、つい
さっきまで手袋の下にあった財布が…
こんな小さな隙間からするなんて、まさにプロの技。 
サン・ピエトロ広場では、水・日曜日の正午に、ローマ法王が高い頭上の窓から各国の言葉でスピーチをされます。それを楽しみに来たのにこの事態。財布にはカードが入っており、すぐに日本へ電話をしてストップ。とてもスピーチを聞ける状態ではありませんでした。せっかく日の丸を掲げて日本をアピールしようと張り切ってきたのに、こんな状況になってしまうとは・・・。幸いにも、七十ユーロほどの現金を取られただけの被害で済んだものの、ホント嫌な気分。油断と隙があり、ターゲットに選ばれてしまった自分が情けない、と自己嫌悪に陥る私とは別に、広場では何万人もの人々が自分の国の大きな横断幕や国旗を掲げ、晴れやかな表情で歓喜の声をあげ法王にアピール。まるでロックコンサートのような盛り上がりを見せていました。
確かに泥棒から見ると、何万人ものお上りさんがローマ法王に会えるとワクワクと隙だらけの心理状態にいる時って稼ぎ時ですよね。さくらももこのエッセイにも「ローマのとんでもない休日」というタイトルでジプシーの少女にすられた話が載っており、息子が「ママだけじゃないよ。」と本を持ってきてなぐさめてくれたけど…。
聞くところによると、イタリアですられたことがない日本人の方が稀らしく、日本人は完全なスリのターゲットの模様。友人もイタリアでカードを盗まれ、写真付きで漢字のサインだったのに、すぐにカードを使われていたとか。お店の方も相当いい加減みたい。
あー、被害にあって初めて用心しないといけないと実感した、「ミネのトホホのローマの休日」でした。  |