外遊びの会

めまいがしそうな炎天下、蝉時雨が鳴き止まない。陽炎が湧き立つアスファルトの異臭が鼻腔をふさぎ、四方から熱気が体を襲
う。濡れた前髪を額にはりつけ向かうのは、秘密基地。そこは、作った者しか入ることを許されない空間。ひんやりした感触が心地よ
い大きな土管の中に「宝物」を持ち込み、大人たちの知らない世界で至極の時間を楽しむ。

そ〜んなノスタルジックな遠い夏の記憶がある親が少なくなってしまった昨今、どうやって子どもを遊ばせていいのか分からない親
さえいるのが現状。テレビゲームは日常化し、野原を駆け回り、虫を捕まえるなんて、いつの間にやら貴重な遊びとなってしまいまし
た。体を動かすことで身体が発達し、遊びは人と人とのコミュニケーションを学ぶ社会性の発達に大きな影響を与える、なんてことは分
かっていても、生活様式の変化で自然の中で身体を動かす機会は減少し、「よく食べ、よく動き、よく眠る」といった基本的な生活習慣
の確保は難しくなっています。その上、駐在で新天地での生活となればなおさらのこと。国際結婚で日本語での育児が困難な環境と
なるとますます課題は大きくなるばかり。

「外遊びの会」は、2007 年、自然豊かな屋外で子どもたちを日本語環境の中でがんがん遊ばせたい！と願う数人の母親が集まって始まりました。
参加資格は、0 歳児以上上限なし、会費は無料 (屋内活動の場合は参加費euro1〜2)。現在の会員数は約 40 家族。子育ての不安、
育児支援などの話が気軽にできる場とし、外遊び (毎水、14h ぐらい−17h) を中心とした活動をしています。季節のおりおりには、イ
チゴジャム作り、ひな祭り、端午の節句、クリスマス会といった親子で楽しめるイベントも。復活祭や夏休みなど長期の休みは、週 3
回集まる機会を設け、何回参加しても OK という自由参加型。屋外で遊ぶ以外に、「読み聞かせの会 (毎金、16−18h)」を個人宅で
実施し、基本的にママたちが持ち回りで日本語の絵本を読み聞かせています。さらに月 1 度の午前中、同じ悩みを抱えるママや先
輩ママと打ち解けながらおしゃべりできる「お茶会」も始め、時には子ども同士のけんかや自主性についてなど、子育てに関するテ
ーマを掲げ話し合うことも。

また、「お母さん文庫*」では子育てのための書籍の貸し出しを、「おひさま文庫* (第 1 水 16 − 17h 、第 3 日 15 − 16h30) 」では、国際児童文庫協会 (ICBA) の協力により、日本語の優れた蔵書約 230 冊の貸し出しをしています。
設立してまだ 3 年ほど。「外遊びの会」は、試行錯誤を繰り返しながら、みんなで今もなお作り上げている子育て支援グループなのです。
*会員限定、有料サービス